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  • 2022.09.30

【ファイナルファンタジーVII 25周年記念】 FINAL FANTASY VII REMAKE REVISITED ~開発秘話ブログ~ Chapter12~16

『ファイナルファンタジーVII』25周年を記念して、『ファイナルファンタジーVII リメイク』の開発者たちのインタビューを掲載!
ここでしか読めない開発秘話を1週間に1Chapterずつ公開いたします。

ブログを読んだ後は『FFVII リメイク』を再びプレイしたくなること必至!
開発の舞台裏を知って、また一味違ったミッドガルの旅をお楽しみください!
※記事内には『ファイナルファンタジーVII リメイク』の内容含みますので未プレイの方はプレイしてからご覧いただくことを推奨いたします。

Chapter1~6はこちら!
Chapter7~11はこちら!
Chapter17~18はこちら!

Chapter12:アバランチの死闘

Q:チャプター12までの流れからフィーラーはオリジナル『FFVII』の歴史を保つために動いていることが分かりますが、何故このチャプターの序盤でクラウドたちの進行を妨げるのでしょうか?予想より3人の到着が早かったのでしょうか?

A:アバランチの応戦状況もあり、神羅側のプレート落下の実行が遅れている状況です。ここにクラウドたちがそのまま合流してしまうと落下作戦自体が失敗する恐れがありますのでフィーラーが一時的に妨害することで運命を守っています。

鳥山 求(共同ディレクター(シナリオデザイン))

Q:銃撃戦のカットシーン含めて本チャプターのカットシーンは、カメラに動きがあって非常に躍動感がありました。まずは絵コンテでカットシーンの概要を作ると思いますが、カメラの動き等はどのように決めていくのでしょうか?

A:絵コンテ作成時に演出内容とカメラワークの流れを作成していますが、プレビズ作成時に改めて練り直す事でクオリティを上げています。
プレビズでカメラ振れの強さや移動感、カット割りのテンポなど絵コンテでは表現できない要素を確定します。
そのためクオリティを上げるためにプレビズで大きく変更することも多いです。

三宅 秀和(カットシーンディレクター)

Q:何故ビッグスは度々リーフハウスを訪れていたのでしょうか?意識が途切れるまで子供たちのことを想っていたということで、更に彼への愛着が湧きます。

A:ビッグスは孤児でリーフハウスの出身です。大人になってリーフハウスを出てからも、影ながらリーフハウスの活動を支援しています。

鳥山 求(共同ディレクター(シナリオデザイン))

Q:原作でも支柱にヘリコプターがきていましたね。
原作通りにヘリコプターを登場させた場合、リアリティのある『FFVIIR』ではかなり無理のある絵になっていたと思います。背景デザインや登場方法など様々な工夫や配慮があったと思いますがいかがでしょうか?

A:今作の制作を始めるにあたりミッドガルのスケールは再構成しており、スラム街から市街地までの距離は300mで設計しています。一般的なヘリコプターの高度が500m程度ということを考えれば十分に表現できる制約だと考えておりました。

また、列車墓場から定期的に神羅のヘリを登場させることで、ヘリ=神羅の脅威と認識されるような演出を意識していました。支柱頂上のレノ&ルード戦にもバトルにヘリを登場させているのはそのためです。

浜口 直樹(共同ディレクター – ゲームデザイン/プログラミング)

Q:細かな部分ですが、アバランチメンバーと神羅兵の銃撃戦。
兵士が階段の柱に隠れ、顔と銃だけ出して撃ち始めるところにリアリティを感じました。
ああいった細やかな動きの表現はどのように作られるのでしょうか?実生活では撃ち合うこともないと思いますし、どのようなところからインスピレーションを得ているのでしょうか?

A:このような大掛かりなカットシーンは絵コンテを最初に用意する事が多く、全体の流れや演出はその段階である程度は固まります。最初から細かい表現が描かれている部分もありますが多くの場合は、モーションキャプチャー収録時に実際の現場をイメージしたリアリティのある動きをアクターと一緒に作り上げていきます。また、ブラッシュアップの段階でも、銃撃戦に限らず実際に体験できない事を表現する能力がアニメーターには必須なので、最後はアニメーター各自が登場人物になりきり緊迫感を持って仕上げを行っています。

相馬 文志(アニメーションディレクター)

Q:本チャプターでは通常のシーンと緊迫感のあるシーンの差別化を図るように「炎」を演出の中に取り入れているのではないかと感じました。
意図的にそうされていたのでしょうか?もしそうであれば炎の量や炎の光量調整などで工夫された点をうかがいたいです。

A:設定的に屋上がもっとも戦闘が激しいので、階を上がるごとにグラデーションのように炎や煙、火花等を増やしています。
上に登っていくに従って緊迫感を増すように演出しています。

高井 慎太郎(グラフィックス&VFXディレクター)

Q:レノ戦では、「ピラミッド」などオリジナル版でも使用していた攻撃が見られます。このような、昔の攻撃と新しい戦闘システムの兼ね合いは難しかったですか?

A:むしろ、キャラチェンジやリアルタイムアクションとの相性は非常に良い要素でした。
一人が拘束されることで戦況が大きく変化し、それに素早く対応していくことも重要なバトルとなっています。

遠藤 皓貴(バトルディレクター)

Q:「マリンを助ける際のエアリス」、「ジェシーとの別れ」、「戦闘後のレノ&ルード」などなど普段とは違って身体や衣装にアザ、傷、汚れなどが施されていることの多いチャプターだったと思います。
こういった追加の加工を施す際に注意したことや、難しかったことなどはありますか?
(細かいですが、ジェシーの顔色がいつもより血の気が引いていたように思いました。)

A:どのようなシーンで使われるかによって傷や汚し方を変えています。爆発に巻き込まれたのであれば火傷させ、崩落に巻き込まれたのであれば埃っぽい表現を多くするなどです。
また傷はしっかりと描写をしてしまうとレーティングに抵触するため控えめな表現に留めることが多いです。
そういった制限の下で大怪我をしたジェシーを表現するため、お気づきになられたとおり顔色には大きな変化をつけさせて頂きました。

鈴木 大(メインキャラクターモデラー&リードキャラクターアーティスト)

Q:このシーンではケット・シーの予想外なゲスト出演があり、ファンは大喜びでした!『FFVIIR』に登場させるというアイデアはどのようにして生まれたのでしょうか?もっと物語が進むまで見られないと思っていましたが、『FFVII』オリジナル版をプレイしていないプレイヤーが混乱するかもしれないという懸念はありましたか?また、『FFVII』オリジナル版に登場した他のメインキャラが『FFVIIR』にゲスト出演する可能性はあったのでしょうか?

A:神羅の中でも今回のプレート落下に対して意見が一枚岩ではないことを表現していますが、それがなぜケット・シーなのかは、かなりのファンでないとわからないかもしれませんね。

鳥山 求(共同ディレクター(シナリオデザイン))

Chapter13:崩壊した世界

Q:『FFVIIR』では、原作と比べてプレートの崩落後についてかなり長い時間扱っています。
なぜ、このような形で荒廃状況を実際にプレイヤー本人に経験してほしいと思われたのでしょうか。

A:魔晄炉爆破後の八番街市街地の状況を伝えるのと同じように、プレート崩落という現実をリアリティをもって伝えるために、章としてしっかりと描くことにしました。神羅のもたらした悲劇として、またその原因がアバランチであることや、このときに仲間を失ったことで、今後のクラウドたちの行動動機として重要な要素になりますので丁寧に描きました。

鳥山 求(共同ディレクター(シナリオデザイン))

Q:七番プレートの落下でスラムの様子がガラッと変わってしまいました。
ガレキや倒壊した建物を見ると、単純にガレキを足したというよりは同じスラム街を2度作るような苦労があったのではないかと思いますがいかがでしょうか?

A:その通りです。スラム街の制作が完成した後に作業する必要があったので残り期間は少なく、ですがストーリー的に重要な場面でもあったので手は抜けず、といった状況で苦労しました。しかし、「実は地下に実験場があった」といった興味深い設定もあったため、同じロケーションを2度作るとはいえ新しい発想で新鮮に取り組めました。

三宅 貴子(エンヴァイロメントディレクター)

Q:地下実験場のボス「アノニマス」は体の模様が赤く光ったり、青く光ったりとかなりリッチに作られていますね。
ああいった「キャラクターの中に組み込まれたエフェクト」はどのように作られていくのでしょうか?キャラ班と一緒に作り上げていくのか、出来上がったものに後付けされるものなのでしょうか?

A:キャラクターの中にエミッシブ(発光させるシェーダー)デザインを組み込んでいます。
色の変化も調整できるようになっています。
そこにエフェクトパーティクルを乗せて、光っている部分から漏れ出しているかのような絵作りをしています。
順番的にはキャラクター班→エフェクト班という形ですが、一緒にアイデアをだして作り上げていくことに違いはありません。

高井 慎太郎(グラフィックス&VFXディレクター)

Q:地下実験場の存在はゲームの前半でNPCによって示唆されますが、『FFVIIR』で実際に訪れることができるとは思いませんでした。このエリアをゲームに追加し、Compilation of FFVIIからの要素を設定に加えていくことは重要だったのでしょうか。

A:『FFVIIリメイク』では、総合的にCompilation of FFVIIからの要素を含めてその世界にある状態で設定や物語を作っています。ゲームの中で印象的な箇所で入れられるのがこの七番街スラムの地下実験施設でした。

鳥山 求(共同ディレクター(シナリオデザイン))

Q:なぜ、この章の地下の場面で、プレイヤーがバレットしか操作できないという決断をされたのでしょうか?この時点で、バレットはパーティからある程度離れていたため彼が登場する時間を与えて、キャラクターを再度確立するのが重要だと考えたのでしょうか。
また、この章でクラウドはかなり長い間登場しません。なぜこのような展開になさったのですか?

A:各キャラクターに必ずプレイアブルパートを入れるということは私の中で開発当初から決めていましたが、バレットがこのチャプターになっているのには明確な理由があります。
七番プレートが崩落して七番街スラムの仲間たちが犠牲になっている可能性があり、現状を知りたいと感情が一番強く高ぶっていたのはバレットだと考えています。この状況下でユーザーがバレットを操作することで、彼の感情への共感、ウェッジを救出した喜びや助けられなかった仲間たちへの無念などの入り混じった気持ちの疑似体験をしてもらえると考えました。
このプレイアブルがあるからこそ、バレットが翌日マリンをエルミナに預けてまで「神羅に対して行動をする」と決断したことへの納得感を演出することができたのだと考えています。

浜口 直樹(共同ディレクター – ゲームデザイン/プログラミング)

Q:バレットになって、神羅ボックスを撃つのは信じられないくらい満足度が高いです。この理由のために、本エリアには沢山の神羅ボックスが追加されたのでしょうか。

A:七番プレートの崩落がゲーム中盤のクライマックスだったということもあり、このチャプターでは一度ゲームの手触りに変化を入れたいと考えていました。
ちょうど操作キャラをバレットにすると決めていたこともあり、クラウド操作のダンジョンとは違う、バレットの銃撃でシューティング要素を組み込んだ手触りの良いダンジョン攻略にしようと思いつきました。
とにかく新鮮さを出したかったこともあり、実装当初「神羅ボックスの数を現状の10倍置いてほしい」と依頼をしました(笑)

浜口 直樹(共同ディレクター – ゲームデザイン/プログラミング)

Q:この章の最後のボス戦で「インフィニットエンド」の楽曲がかかりますが、この曲は本当に素晴らしい楽曲です。『FFVII』原作の既存の音楽の編曲に頼ることなく、ボス戦の楽曲を新規で作曲する機会は常にあったのですか?また、どのようにこの楽曲は作り上げられたのでしょうか。

A:「インフィニットエンド」は当初の鳥山の発注はボス戦ではなく、フィールド上での敵とのバトル曲として発注されました。『FFVIIリメイク』の新しいバトル曲を象徴するような楽曲という発注内容でしたが、出来上がった曲がスケール感と勢いがあったのでボス曲として採用になりました。

河盛 慶次(ミュージックスーパーバイザー)

Q:ティファとバレットが異なる階層で戦う、複数の層で構成されているこのボス戦が個人的に大好きです。この戦闘を実装するのは難しかったのでしょうか?キャラが離れて戦う、このような戦闘をもっと作る考えはありますか?

A:「PTを分断して遊びを構成する」というアイデアはもっと広げられそうな可能性を秘めていると感じています。今作ではこのボス戦で少し実現しましたが、まだまだ遊びとしてブラッシュアップして楽しめるものが作れそうなら今後もチャレンジしたいと思っています。

遠藤 皓貴(バトルディレクター)

Q:クラウド達はもちろんですが、ウェッジの飼い猫の耳や目など、動物の表情やしぐさを美しくそして正確にとらえて表現されていることに驚きました。
猫の表情やしぐさなども検証して実装されたのでしょうか?

A:フェイシャル班には猫好きなスタッフもいるので、かなりこだわっています。猫アレルギーだけど鼻炎の薬を飲んで、自発的に猫カフェに行ってしぐさを見てきたスタッフもいました。耳の動きや舌の動きはいろいろな資料を調べたりしました。ある意味では人間の表情以上にこだわっているかもしれませんね。

岩澤 晃(フェイシャルディレクター)

Chapter14:希望を求めて

Q:なぜチームの方々はチャプター14の冒頭で、バレット、ティファ、エアリス3人別々の決意のシーンを用意されたのでしょうか。

A:原作で人気のキャラクター好感度による分岐するデートイベントの体験を『FFVIIリメイク』でも体験できるように、同じような構成で物語の後半にこの決意のシーンとして入れることにしました。

鳥山 求(共同ディレクター(シナリオデザイン))

Q:あるきまにあのマテリアはいいアイデアだと思います(装備している間に一定の歩数に達するとレベルアップする)。どのようにして、ゲームに実装されることになったのでしょうか。

A:この章では多くのエリアを歩き回ることになるのでその部分を少しでもわくわくできるように世界観だけでなく、システム面でも貢献できる要素として実装しました。

遠藤 皓貴(バトルディレクター)

Q:『FFVIIR』全体のストーリーで何回かキリエを目撃したのですが、彼女の登場はこの章の序盤に焦点が置かれていると思います。どのようにして、この章に(また、ゲームの他の場所に)彼女を登場させる決断をしたのですか?彼女にはゲームの中でより大きな役割があったのが、最終的に編集されたのでしょうか。

A:キリエは小説版(Kids are all right)のキャラクターですが、序盤からさりげなく登場しつつ、この章ではスラム住人のひとつの視点として印象に残るようにしています。ほかクエストなどにも登場していますので、プレイの仕方によって印象が異なるキャラクターなのかもしれません。

鳥山 求(共同ディレクター(シナリオデザイン))

Q:本ゲームのドラマ性を高めるうえで最も重要な要素の一つが「フェイシャル」だとバレット、ティファ、エアリスの決意のシーンで改めて感じました。
このような繊細な表情の動きを一つ一つ膨大なゲームのカットシーンに付けていくのは途方もない事だと思いますが、技術的な部分でどのような工夫をして実現に至っているのでしょうか?

A:カットシーンではボディーのモーションキャプチャーと同時にフェイシャルキャプチャーも撮影しています。そのデータを使用してフェイシャル専門のアニメーターが各キャラクターに合わせた表情に作りこんでいきます。モーションキャプチャーのアクターとボイスアクターは違うので、リップシンクはほぼ作り直しています。その時もリップの自動配置ツールを使用して、そこから音声に合わせて作りこんでいきます。今も昔もアニメーターが作ることは変わりませんが如何に作りこみに集中できてそれ以外の作業を自動化していけるかを心がけています。

岩澤 晃(フェイシャルディレクター)

Q:スクワットのミニゲームを開発した後でけんすいのミニゲームを作るにあたり、どのくらい追加の開発作業が必要だったのでしょうか?もしくは、逆の順番で作られたのでしょうか?また、『FFVIIR』で最も難しい挑戦の一つが、アニヤンをけんすいで破ることだと思います。元々、ここまで難易度が高くなる予定だったのでしょうか。

A:スクワットとけんすいのミニゲームは当初から一緒に企画&制作していましたので、けんすい用に何か特殊なものを後から追加することはありませんでした。双方が満たせる仕様として制作していました。

けんすいの難易度に関して賛否両論あったことは把握しており、私の判断で開発終盤に最難関に調整をしました。クーニャンに関してはゲーム必須の要素でもなく終盤最後のミニゲームということもあり、中途半端な難易度で印象に残らないくらいなら最高難易度で記憶に残してもらう方が価値があるだろうと判断しました。SNSでけんすいに関してのコメントを追いかけていましたが、皆さんのコメントが予想した通りになっていて私としては満足のいくものでした。

浜口 直樹(共同ディレクター – ゲームデザイン/プログラミング)

Q:この章では、チョコボが登場しますね!チョコボを見ることができて本当に嬉しかったです。
ミッドガルを一緒に歩き回ることができるとは思いませんでしたが、チョコボ以外の移動手段についてはお考えになりましたか?

A:チョコボ・サムのキャラクター性がしっかりしていたこともあり、早い段階でチョコボをファストトラベルの機能として使用しようと決めていました。ただし、チャプター14のサイドクエストを構成する上でより利便性を上げるために当初よりも多くの場所にチョコボのストップ場所を用意することとなりました。

浜口 直樹(共同ディレクター – ゲームデザイン/プログラミング)

Q:この場面のファストトラベルでは、複数のバージョンのチョコボのテーマが使用されています。なぜこんなに多くのバージョンが含まれているのでしょうか。

A:鳥山のアイデアで、ゲーム中に鳴らしていたチョコボ曲をランダムで鳴らすと、ユーザーに楽しんで貰える&面白いという事で、多くのチョコボ曲が聞けるようになっています。

河盛 慶次(ミュージックスーパーバイザー)

Q:この章では、以前訪れた場所に再び訪れることが多いです。これらのエリアを、プレイヤーが探索する時に新鮮でワクワクしてもらえるよう、どのようなことに気を付けましたか?

A:伍番・六番街スラムを何度も往復しないように、ファストトラベルの場所を増やしたり、サイドクエスト発生場所にも注意して設計しています。サイドクエストの為にスラムを移動することを少しでも楽しんでもらえるように「あるきまにあ」を追加したりもしました。
神羅ビルに向かう場面で、任意でプレイすることが可能なサイドクエスト要素があることは、ユーザーが好きなタイミングで最後のストーリーに進んでいくという選択を感じてもらう為の最大の役割でした。

浜口 直樹(共同ディレクター – ゲームデザイン/プログラミング)

Q:コロシアムを再び訪れるのはとてもワクワクする経験でした。
このシーンでどの戦闘を含めるかどうかは、どのようにして決定されたのでしょうか?
もっと多くの戦闘を追加しようとは考えられましたか?

A:コロシアムとは別でチャドリーのバトルシミュレーターの要素もありましたので、そちらのバトル構成との兼ね合いを考えつつ、コース全体を設計しました。
まんべんなく色々な敵と戦えることや組み合わせてみたい敵を考慮して構築してあります。

遠藤 皓貴(バトルディレクター)

Q:レズリーは、この章のストーリーにおいて非常に重要な役割を果たしますが、彼のキャラクターはどの様に作り出されたのでしょうか?小説で登場したキャラクターの登用ですが、本作に登場させることになったいきさつがあれば教えてください。

A:キリエと同様にレズリーも小説版(Kids are all right)のキャラクターですが、ゲーム以外の小説などもひとつの『FFVII』の世界として考えていますので、ミッドガルに住む住人のひとりでありクラウドたちにからむキャラクターとして登場させることになりました。

鳥山 求(共同ディレクター(シナリオデザイン))

Chapter15:落日の街

Q:『FFVII』オリジナル版では、揺れるワイヤーに飛びつくシーンがあります(私は何度も失敗しました!)が、魔晄炉スイッチやスクワットなどのように、本作にも当初は実装したいと思われていたのでしょうか。

A:チャプター15はワイヤーガンを使って瓦礫の上に登っていく構成になっているのですが、実はワイヤーガンは原作の揺れるワイヤーからのオマージュで生まれたものなのです。
原作のようなタイミングを見た一発のギミックで表現するよりは、このチャプターを通して利用できるダンジョン攻略のギミックとして発展させたほうが良い結果につながるだろうと判断したためです。

浜口 直樹(共同ディレクター – ゲームデザイン/プログラミング)

Q:本チャプターに入ってすぐ、クラウドたちが通りかかると同時に廃墟と化した街の中の建物の一つがボロボロと崩れ落ちますね。
あまりに街の惨状がショックすぎて、また崩れ方が自然すぎてプレイヤーはすぐに先に進んでしまいがちですが、かなりこだわりがあったシーンに思います。テクニカルなことも含めてあのシーンがどうやって完成していったのか教えていただけますでしょうか?

A:崩れる建物はシミュレーション専門の別動隊に制作してもらい時間をかけて調整しました。瓦礫を一つ一つ動かしているのではなく、あらかじめ粉砕してある一つのモデルの頂点だけを動かすことで、処理が軽く大量の粉砕が表現できるようになっています。

三宅 貴子(エンヴァイロメントディレクター)

Q:本チャプターでは空中戦闘の場面が多く見られますが、クラウドやティファなど近接戦闘をするキャラクター用に実装するのはとても大変だったのではないかと思います。『FFVIIR』と空中戦闘について振り返ってみて、バトルシステムを改めて開発する機会がもしあったとしたら、違う方法で取り組んだかもしれないと思われるものはありますか?

A:これについては非常に悩んだ点でして、アクションがあまり得意でないプレイヤーでもある程度戦いやすくするようにしたかったのですが、課題が残る形となったと思っています。
ユフィのようにある程度任意で空中戦を戦えるような仕組みでも全体構成しなおしてみたいと考えています。

遠藤 皓貴(バトルディレクター)

Q:『FFVII』オリジナル版では、ヘリガンナーとの戦いはゲームのもう少し後の方で登場します。なぜこのボス戦を早い段階にもってきたのか、またこの決断は開発のどれくらい早い段階でされていたのかお聞かせください。

A:野島さんの最初の台本では、原作通りにヘリガンナーは神羅ビルの中で登場するように書かれていたのですが、神羅ビルでボスの連戦が多すぎてテンポが気になったこともあり、ヘリガンナーをチャプター15のボスとして調整をしてもらった経緯があります。崩落したプレートの断面を移動していくこともあり、飛行タイプのボスの方が都合がよかったという点も大きいです。
台本の時点で修正してもらっているので、判断としては比較的序盤だったと覚えています。

浜口 直樹(共同ディレクター – ゲームデザイン/プログラミング)

Q:本チャプターを通して流れている「反神羅の火 / Fires of Resistance」という楽曲は実に素晴らしいです。この曲はどのように作曲されたのでしょうか。ダイナミックで常に形を変えるようなこの音楽をつくるにあたり、チャプター内で起こる出来事の概要を知らされた(あるいはおそらく初期の開発モデルをご覧になった)うえで製作されたのでしょうか。

A:Chapter15は、大きなカタストロフィがあった直後の絶望感でパーティに重苦しい雰囲気が流れている場面でした。
「反神羅の火」は、クラウド達の心情に寄り添ったものにしたいと思い作曲を始めたのですが、これが結構やっかいで『FFVIIリメイク』の中で一、二を争うほど完成させるのに苦労した楽曲になりました。また制作の中で1曲まるまるお蔵入りにしたので、皆さんが聴いているのは2代目「反神羅の火」となっています(笑)。
初代「反神羅の火」は、もし自分自身が大きな災害や何か悲しい出来事に直面した時に、どんな曲が流れると悲しみを断ち切れるかな?といったアイデアをもとに作曲をスタートさせました。その結果、自分がもつ悲しい気持ちを偽る・断ち切るように妙にハイテンション(というか空元気?)で、音楽的にはテンポが早くて変拍子で熱血漢…おまけにケルト風味!というような超絶てんこもりバトル楽曲になってしまい、それまでの『FFVIIリメイク』の中にも無いようなサウンドになったので、自分的には面白いかな?と勢いでフィールドバージョンまで制作したのですが、冷静になってみると「なんか今こういうノリじゃないよね?」ということになり、お蔵入りにさせてもらいました(笑)
まぁ端的に言うと、ちょっとウケを狙って変化球を投げてみたら普通にスベったということですね(笑)

2代目「反神羅の火」に関しては、もう少し気持ち的に冷静さを取り戻しつつ、また初代の時のように自分を偽らずにきちんと悲しみに向き合った心で作曲をしました。サウンド的にもFFVII Remakeの重厚な雰囲気を保つのを心がけ制作し、現在の形になっています。拍子が4拍子→5拍子→3拍子→5拍子…と移り変わっていくのは初代の名残かもしれません。

『FFVIIリメイク』では、大変ありがたいことに制作前の資料としてそのチャプターの数十分〜数時間に渡るプレイ動画をいただける他、製品のプロトタイプを遊ぶ機会もあるので、「どんな音楽が必要か?」「どんな鳴らし方が効果的か?」ということが分かりやすく作曲もしやすいです。
また、ゲームの内容に応じて、こちらから「ここには現状のBGMとは別のバージョンを当てたほうが良いのでは?」といった音楽演出の提案を出来るので非常に楽しいですし、やりがいがあります。

Chapter15で言うと、元々バトル1曲とフィールド2曲の3パターンで行こうかと思っていたのですが、途中の暗がりの中では、音楽をダークなものに変えたほうがよりプレート断面を登っていく高揚感や、高い場所から見下ろしたときの開放感につながるかなと考えたため、その”暗がりバージョン”もご提案させていただきました。最終的に(カットシーン、ボスを除くと)プレート断面では同じ構成の曲を5パターン用意し、それらをゲームの内容に合わせてダイナミックに切り替えています。『FFVIIリメイク』は、全編に渡ってそのような細かい音楽変化の連続で体験を盛り上げているので、2周目のHard Modeはぜひ音楽にも注目していただきながら楽しんでいただきたいです!

島 翔太朗(株式会社 グローブ・エンターブレインズ)(アディショナルコンポーザー)

Q:鉄骨の一本橋を渡るシーンがありますね。
すごく細かなことですが、高さと怖さを表現するためにあえて一本橋の真ん中に石がおいてあったようにお見受けしました。
あのような工夫はどのセクションが担当して決めているのでしょうか?(シナリオ?背景?レベル?)それとも、どこのセクションというわけでもなく話し合いの中で生まれるのでしょうか?

A:チェック会等で頻繁に意見が交わされアイデアが出ることが多いです。残念ながら過程を覚えていないのですが、そういったディスカッションの過程で生まれたものの一つかもしれません。

三宅 貴子(エンヴァイロメントディレクター)

Q:クラウド、ティファ、バレットが崩落後の街を眺めている様子は、よくマーケティングキャンペーンでも目にしましたが、このシーンは開発で時間をかけた箇所でしょうか?開発を進める中で、どのように変化していったのでしょうか。

A:初めて崩落後の街を見下ろすためユーザの思いも強く、背景を如何に美しく描くかのみを追求しているシーンです。
広大な街を描く必要があるためリソースの制作に時間がかかっていますが企画当初からコンセプトが確定していたので迷うことなく制作できています。背景の構図やポストエフェクトが重要なので背景班やライティング班の力が大きいですね。

三宅 秀和(カットシーンディレクター)

Q:クラウド、ティファ、バレットが崩落後の街を眺めている夕暮れのシーンは遠景、ライティング(レンズフレア)、廃墟から立ち上る煙などなどエフェクトまわりの力が結集した1シーンのように思えます。VFXの面で、このシーンを作り上げていくのにどのような苦労がありましたか?

A:印象的なシーンなのでレンズフレアの見せ方は慎重に行いました。
レンズフレアはカメラの動きと連動するので、夕日とキャラクターがクロスする部分は何度も調整をしています。
立ち上る煙を含め、悲惨さと静寂を演出できるよう製作しました。

高井 慎太郎(グラフィックス&VFXディレクター)

Q:ヘリガンナーとの戦いは数フロアにわたる巨大なセットとなっていますが、この戦いのコンセプトから開発の最終段階、そして実装に至るまでどのように進められていったのでしょうか。

A:崩れかけた場所や高い場所という立地を演出やバトルとうまく組み合わせて独自のシチュエーションを作れればというコンセプトからスタートしていました。
狭い足場から始まり、エリアが変わって徐々に追い込まれつつそれを突破するというバトルの流れを体感してもらうためにアビリティやエリアの広さを設計していきました。

遠藤 皓貴(バトルディレクター)

Q:本チャプターは一気に時間が夕方に移り、ライティングも夕方に合った色味にがらっと変わりましたね。とても美しい茜色ですが、参考にされた場所や季節はあるのでしょうか?

A:遠景にはプレートが落下した七番街スラムも見える事から、ここの空は綺麗だけど少し哀愁を感じるような色味にしています。通常の夕方だと中々このような色味にはならないので台風の後の夕方の空を参考にしています。

山口 威一郎(ライティングディレクター)

Chapter16:神羅ビル潜入

Q:この章が、神羅ビルを見上げるクラウドの代表的なショットから始まることは、どのくらい重要だったのでしょうか?

A:クラウドが神羅ビルを見上げるシーンは原作のイメージCGとして多くのプレイヤーの記憶に残っていますし、いまでも画像検索で多くヒットする画像です。このシーンはかなり構図に無理があり再現するのが難しかったのですが、ファンサービス的にも入れることにこだわりました。

鳥山 求(共同ディレクター(シナリオデザイン))

Q:地下駐車場の中で繰り広げられるバトルは私が気に入っているシーンの一つです。ゲームをここまで進んだプレイヤーは、あの素晴らしい「エアリス救出作戦」の曲が流れる中、戦闘システムにも慣れてきて自在に操作できるようになっています。
緊迫感とスピード感を高めるためにあの楽曲を最大音量で流すことは、重要なポイントだったのでしょうか?

A:「エアリス救出作戦」は闘う者達のフレーズを含みつつも、ほぼ新曲としてこのシーンのテンション感にあわせた専用バトル曲として製作しており、曲をしっかり鳴らす事でこの一連のバトルを盛上げるのに一役買っています。

河盛 慶次(ミュージックスーパーバイザー)

Q:神羅ビルの一階では、ティファになって雲梯をする場面があります。これはコンセプトデザインからどのようないきさつで生まれたのですか?

A:全キャラクターにプレイアブルパートを設けるという方針の中で、最後のクライマックスに向けて神羅ビルに侵入するためにティファの活躍を表現したいという考えがありました。
この時点の彼女には「アバランチの活動がきっかけで七番プレートが落とされてしまったのではないか」という葛藤があります。そんな状況の中でも前を向いて進んでもらうために、彼女一人が仲間の為に道を切り開くという体験をしてもらいたかったのです。雲梯やシャンデリアを移動するアクションに関しては「侵入」をテーマにしたときに出てきた要素となります。

浜口 直樹(共同ディレクター – ゲームデザイン/プログラミング)

Q:オリジナル版に比べて神羅ビルはよりハイテクで近未来な作りになっているように感じました。
この辺りのデザインの方向性はどのように決まっていったのでしょうか?

A:神羅は常に経済成長を目指し古い地域を切り捨てていきます。神羅カンパニー内だけをハイテクにすることで、「勢いよく前進する神羅カンパニー」と「お下がりの恩恵を受けながらもいつかは切り捨てられるかもしれない住民」という図式を演出しようということで方向性が決まりました。

三宅 貴子(エンヴァイロメントディレクター)

Q:階段を上るシーンではプレイヤーの疲労感を演出するために音楽まで酸欠を起こしているような演出が加えられていますね。これはどのように作られていったのでしょうか?

A:BGMでも階段を上り続ける疲れを表現したいという鳥山のアイデアで製作しました。アレンジ違いではなく、元曲をエディットしたりエフェクト加工で疲れを表現しています。結構激しめに加工しているので面白い効果になっていると思います。

河盛 慶次(ミュージックスーパーバイザー)

Q:神羅ミュージアムは、神羅という会社とその役員たちの紹介方法として素晴らしかったと思います。この中に何を含めるかはどのように決められたのですか?ミュージアムツアーのインスピレーションとなったものは何でしたか?

A:ここでは神羅で働く人々やその家族、またミッドガル市民に向けて神羅を肯定するための材料を提供しているのです。神羅に付いていけば安心というような。説得力と訴求力を持たせるために、ミュージアムのキュレーターになったつもりで歴史的な資料や開発技術を特に視覚的にアピールするようにアセットを多数用意しました。一般的なミュージアムよりもいち企業や施設の資料館をイメージしています。

菅原 瑞士(エンヴァイロメントアートワーク)

Q:『FFX-2』では子供だったシンラ君が、大人になったことがはっきりとわかる写真がありますが、彼がそこに登場するのは何故ですか?

A:いろいろと想像して楽しめるようにしていますが、もしかしたら社員の誰かがコスプレをして記念撮影しているだけかもしれません。

鳥山 求(共同ディレクター(シナリオデザイン))

Q:「古代種」が紹介される動画のシーケンスは素晴らしかったです。なぜ、これをゲーム内エンジンを使って生成せずに、プリレンダリングされた動画として紹介されたのですか?

A:動画のシーケンスの中にミッドガルが建設される描画があるのですが、満足するクオリティで表現するために、当初からここに関してはヴィジュアルワークス(現在ではイメージスタジオ)にプリレンダリングで依頼することが決まっていました。

浜口 直樹(共同ディレクター – ゲームデザイン/プログラミング)

Q:神羅ビルの中で、クラウドが出会う警備兵は誰ですか?警備兵が出した「カンセル」という名前に『クライシスコア-ファイナルファンタジーVII-』を懐かしく思い出しました。カンセルが『FFVII リメイク』に含まれることになっていたことはありましたか?

A:『クライシスコア』のときの同僚のひとりです。クラウドが神羅の一員だったことを示すエピソードです。彼らが多く登場しますとリメイクの物語が破綻しかねないのでフィーラーが出てきてしまうかもしれません。

鳥山 求(共同ディレクター(シナリオデザイン))

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