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  • 2022.10.14

【ファイナルファンタジーVII 25周年記念】 FINAL FANTASY VII REMAKE REVISITED ~開発秘話ブログ~ Chapter17~18

『ファイナルファンタジーVII』25周年を記念して、『ファイナルファンタジーVII リメイク』の開発者たちのインタビューを掲載!
ここでしか読めない開発秘話を1週間に1Chapterずつ公開いたします。

ブログを読んだ後は『FFVII リメイク』を再びプレイしたくなること必至!
開発の舞台裏を知って、また一味違ったミッドガルの旅をお楽しみください!
※記事内には『ファイナルファンタジーVII リメイク』の内容含みますので未プレイの方はプレイしてからご覧いただくことを推奨いたします。

Chapter1~6はこちら!
Chapter7~11はこちら!
Chapter12~16はこちら!

Chapter17:混沌からの脱出

Q:エアリスは部屋の壁に何を描いていたのでしょうか?注目すべき点などはありますか?

A:ゲームの背景作成時の初期設定としては、エアリスが4歳から7歳まで描きつないだ大作です。最初は与えられた絵本の中の花の絵や生き物を真似て描き始め、次第に母に昔話のように聞かされたセトラの民の歴史を描いていきます。ですから部分部分は独立した絵として描かれているのですが、ライフストリームを描くことですべては繋がっているというセトラの思想を無意識に表している点は興味深いのではないでしょうか。

菅原 瑞士(エンヴァイロメントアートワーク)

Q:何故フィーラーはエアリスの部屋に現れたのでしょうか?この時点では、特に運命を変えようとしていないように見受けられます。エアリスは未来のことを知っているのでしょうか?

A:エアリスが皆に自分の知っていること、真実を語ってしまうと、その行為自体がその先の運命を変えていく恐れがありますのでフィーラーがそうさせないように運命を守っています。エアリスは未来を知っていたのかもしれませんが、このときまでにフィーラーにその未来の記憶を奪われていってしまっています。

鳥山 求(共同ディレクター(シナリオデザイン))

Q:セフィロスの再登場です!
クラウドが攻撃を仕掛け、剣がぶつかり合うシーンは『ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン』を彷彿とさせますが、これは意図されたものでしょうか?

A:はい、その通りです。
リメイクの企画コンセプトに、『アドベントチルドレン』のクオリティでゲーム体験を作るという目標があります。
『アドベントチルドレン』はカットシーン全体のクオリティリファレンスになっており、特にセフィロスが登場するシーンはその意思が強く表現されているのかもしれませんね。

三宅 秀和(カットシーンディレクター)

Q:特秘研究施設は開発中にどのように考案されたのでしょうか?初めから「最後のダンジョン」とされる予定だったのでしょうか?

A:原作とは異なり、リメイクでは神羅ビルが最後のロケーションとなるため、神羅ビルのサンプルH0512から社長室までの間にラストダンジョンを新設する必要がありました。

今の形になるまでに紆余曲折があったのですが、原作に全く要素のないものを新設するよりは原作にあったものをオマージュしつつ広げるほうがよいと考えました。
原作の67階で首のないジェノバが保管されているポッドを覗けるのですが、最終的にこのポッド自体を一つの特秘研究施設として再創作し、ジェノバを中核に据えたダンジョンとして生まれ変わらせるという発想にたどり着きました。

浜口 直樹(共同ディレクター – ゲームデザイン/プログラミング)

Q:何故ここでパーティを分けることにしたのでしょうか?また、パーティ編成を行う通信機に貼られている「PHS」の文字は、オリジナル『FFVII』のファンにとって素敵な隠し要素でしたが(PHSはオリジナル版でパーティ編成を行うために使用されていました)、どういった経緯で本作に追加されたのでしょうか?

A:神羅ビルのラストダンジョンでエアリスのプレイアブルパートを実現したいとは開発当初から考えていたのですが、それと合わせてラストダンジョンだからこそ全メンバーでもう一度バトル体験してほしいという考えもありました。
そこでオーソドックスではありますが、二つのチームに分かれてダンジョンを攻略するタイプで構成しようと決めました。通信機でパーティを切り替えるというのはレベルデザインの段階で決まっていたのですが、名前はPHSなどではなくて通信機と呼んでいました。
が・・・ある時点でシナリオ台本の方で通信機がPHSと呼ばれていることを知り、シナリオ班の遊び心から生まれたと認識しております。私としても気に入っています。

浜口 直樹(共同ディレクター – ゲームデザイン/プログラミング)

Q:レッドXIIIは戦闘に参加しますが、プレイヤーは操作できません。開発中、操作可能にするという考えはあったのでしょうか?また、逆に一番最後まで登場させないという考えはあったのでしょうか?

A:操作可能にするという案もありましたが、物語終盤であることや、成長させる幅があまりないことまで考えると今作ではAIキャラにとどめておこうという判断になりました。
物語上、登場させることは決まっていたので、どう扱うかをバトル側で検討した結果となります。

遠藤 皓貴(バトルディレクター)

Q:ジェノバBeat戦、バトルもさることながらBGMでの演出も非常に興奮させられました。(オリジナル版をプレイしている人にとってはなおさら)
最終フェーズに盛り上がりを持ってくるような指示や注文が最初からされていたのでしょうか?

A:元々は最初からテンポの速いオリジナルに近い形で鳴らす予定でしたが、バトル前のカットシーンからの繋がりを考えた結果、テンポを落としたバージョンからはじめ、途中のフェーズでテンポを上げた方がテンションが上がると思い現在の形になりました。最初にこのシーンをテストプレイした時は、最終フェーズで自分もテンションが上がりました。

河盛 慶次(ミュージックスーパーバイザー)

Q:フィーラーがパーティに対して友好的でも敵対的でもなく「運命を正しているだけ」ということを示すためにはバレットが死に、フィーラーに蘇生されるところを見せることは重要でしたか?

A:フィーラーが守る運命において、ひとりの人間の生き死にですら変えることもあるという象徴として、バレットのピンチを描いています。ただバレットは頑丈なのでフィーラーが守らなくても自力で復活していたかもしれません。

鳥山 求(共同ディレクター(シナリオデザイン))

Q:ルーファウス戦はかなり苦戦しました!未だに手こずっているプレイヤー向けのアドバイスはありますか?

A:ルーファウスの行動パターンをしっかりつかむ必要があります。リロードのタイミングを狙ってATBを溜め、ATBがたまったら隙をみてアビリティを当てることで少しずつ攻略していけると思います。
無理に攻めず、しばらくはガードで様子を見ながら落ち着いてプレイすれば突破しやすくなるはずです。

遠藤 皓貴(バトルディレクター)

Q:ハンドレッドガンナー戦では環境を利用して攻撃を防いだり回復したりできるなど、面白い作りになっていますね。環境をより多くの戦闘に取り入れるというお考えはありましたか?

A:ハンドレッドガンナー戦は遠距離キャラクター2人で挑むこともあり、うまく環境を利用するバトルが設計できたと思います。その他のバトルでもアイデアさえあれば、積極的に環境を利用することは常に考えていました。

遠藤 皓貴(バトルディレクター)

Chapter18:運命の特異点

Q:「ミッドガル・ハイウェイ」は『FFVII』、『FFVIIR』のサウンドトラックから数々のモチーフを起用した素晴らしい楽曲です。この楽曲を制作するために、どのくらいの労力がかかったのでしょうか?これまでの中でもかなり難しい曲でしたか?

A:「ミッドガル・ハイウェイ」冒頭部分のクレイジーモーターサイクルは、確かアレンジデモを作るのに1週間もかかっていないと記憶しています。そのあとのパートで、bpm190をキープしながらモチーフを加える作業はとても大変だと思っていましたが、実際に制作してみると映像の持つパワーや推進力に導かれ、あまり悩まずに制作することが出来ました。
あの時は所謂 "モード" に入ったような感覚で、とても貴重な体験だったことが強く印象に残っています。
"闘う者達" "更に闘う者達"のパートはACバージョンを取り入れると決めていたので、「ミッドガル・ハイウェイ」全てのパートにギターをフィーチャーしたのも一つの拘りです。

中村 佳紀(株式会社 テレビ朝日ミュージック)(アディショナルコンポーザー)

Q:モーターボールのボスバトルが、『FFVII』のオリジナル版の独立したボス戦ではなく、バイクのミニゲームにも追加されたのは何故でしょうか?これが独立したボス戦だったことはあったのでしょうか。

A:すごく良い質問です。実は当初の野島さんの台本ではボス戦は モーターボール → フィーラー=プラエコ → エンディングという流れで構成されていました。
開発中盤のころに、本作での最後のボスはセフィロスにするという方向転換をしまして、そのタイミングに合わせてボスが三連戦するのもテンポとしてよくなかったこともあり、その手前で予定していたGバイク側のボスとしてモーターボールを活用させてもらうという判断をしました。

浜口 直樹(共同ディレクター – ゲームデザイン/プログラミング)

Q:フィーラー=ロッソ、フィーラー=ヴェルデ、フィーラー=ジャッロは『ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン』で、自分達の未来を守るために動いていたカダージュ、ロッズ、ヤズーを象徴しているように見えます(「みやぶる」マテリアを使用した後の様子を参考)が、これはそういうことなのでしょうか。

A:フィーラーは時の流れのなかにあるすべての記憶からモンスターを形作ることができます。その中にご存じのキャラクターが含まれていることもあるかと思います。

鳥山 求(共同ディレクター(シナリオデザイン))

Q:次にパーティメンバーは、オリジナル版で出てきた未来の記憶を見ますが、『FFVII』オリジナル版をプレイしていないユーザーが『FFVIIR』をプレイする際に、上記がはっきりとファンに伝わらないのではという懸念はありましたか。

A:未来の記憶が見えるシーンはそもそもこのときのクラウドたちにも意味がわからないと思いますので、このとき見えるヴィジョンの意味合いまでが伝わらなくても大丈夫です。

鳥山 求(共同ディレクター(シナリオデザイン))

Q:バイク用に作られた特設ステージであるミッドガル・ハイウェイ。
かなり広大なマップですし、普通のステージとはかなり作り方も異なっていたのではないかと思います。苦労された点などございますか?

A:とにかく広い範囲にビル群をミッドガルの設定に沿って配置するのが大変でした。ミッドガルならではの苦労として、設定からずれないよう、どちらの方向に神羅ビルが見えていて、最後に到達するプレートの位置は・・というふうに常に東西南北を気にする必要もありました。

三宅 貴子(エンヴァイロメントディレクター)

Q:セフィロスとの戦いには様々なフェーズがあり、状況に合わせてパーティメンバーを変えながら、秀逸なカメラアングルでストーリーが展開されていきます。こういった要素をひとつにまとめるのは、どのくらい大変でしたか。

A:このバトル専用の仕組みも数多く存在していますし、非常にこだわり、苦労したバトルの一つです。
不具合の対応も多かったですし、長い時間をかけて作成されました。
そのかいもあってか、演出的な盛り上がりとバトル要素の盛り上がりをうまくマッチして実現できたかなと思います。

遠藤 皓貴(バトルディレクター)

Q:「片翼の天使-再生-」はビデオゲーム史のなかでも最も名高い楽曲の素晴らしいアレンジとなっています。『FFVIIR』用にこの楽曲の再編を託されたことについて、どのように感じられましたか?また、仕上がりについてはどのくらい満足されていますか。

A:『片翼の天使』は僕の人生のなかでも大事な1曲だったので、編曲をお願いされたときに「これはもう、自分の人生をかけてでも、いいものにしなければならない」と思いました。
原作を作曲された植松伸夫さんの音楽はもちろんどれもとても好きですし、浜口史郎さんの担当した『片翼の天使』のオーケストレーションも僕はとても好きで、すごくお二方の音楽に影響を受けてきました。
今回その曲を編曲するにあたり、原曲の持つそれら多くの魅力を壊さないまま、なによりも自分自身の幼いころの思い出を汚さないように、自分をがっかりさせないように、まずは自分自身が満足できる『片翼の天使』というもののリアレンジの形が何かを模索しました。
『片翼の天使―再生―』という楽曲名が物語る通り、今回のリアレンジのキーワードは「再生」という言葉です。
アルティマニア(ファイナルファンタジーVII リメイク マテリアル アルティマニア)でも語ったことですが、この曲は植松さんが作曲された際に、最初にいろいろなモチーフを作って、それをパズルのように組み合わせたという話をどこかで拝見した記憶があり、今回それをまた「再構成する」という意味で、それぞれのフレーズを再度ばらばらにし、新たな順番に並び変える、というところからスタートしています。
さらに今回はバトルが4つのフェーズに分かれているので、それぞれのフェーズに合ったアレンジをしつつ、徐々に音楽を盛り上げていかなければいけなかったので、それにあたってもそのモチーフを再構成するということが必要でした。
特に、注意した点は第3フェーズです。
ここではセフィロスの片翼が出現し、プレイヤー側のパーティメンバーも揃い、ここからセフィロスとの激しい戦いがいよいよ始まることになります。
そこでユーザーの気持ちを一番盛り上げるべく、『片翼の天使』の最も象徴的であるイントロの部分のティンパニのフレーズを第3フェーズにもってくるということを決めて、そこから逆算して作っていきました。
これを言っては元も子もない話ですが、僕自身も結局原曲の『片翼の天使』が一番好きなのは事実です(笑)。
しかし、最初に掲げた自分自身のなかの思い出の『片翼の天使』に恥じないような、自分なりのリメイクは出来たのではないかと思っています。

西木 康智(アディショナルコンポーザー)

Q:クラウドとセフィロスが銀河越しに一対一で対峙するシーン。クラウドがセフィロスに対して使う攻撃は、『FFVII』のオリジナル版(その後『ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン』でも登場)の超究武神覇斬に似たものという設定なのでしょうか?

A:技名や設定に関してはご想像にお任せします。
開発当初、今作でセフィロスとクラウドの一対一のシーンがあるとは予想しておらずわくわくしながら制作しました。
冒頭は『FFVII』のオリジナル版を連想する展開で二人が対峙したときのカメラ構成に似せています。
アクション部分は最強のセフィロスと、それに負けじと食らいつくクラウドの姿を描いています。
殺陣師から刀のリーチ差を使った戦いをするとクラウドに勝算は少ないだろうと意見があり、そこから攻撃をいなすセフィロスと接近戦を挑み続けるクラウドの殺陣が完成しました。
拮抗した戦いに見えますがセフィロスにはかなり余裕があるという事になりますね。

三宅 秀和(カットシーンディレクター)

Q:『FFVIIR』を手掛けられたことについての記憶や、考えをご共有くださりありがとうございました。最後に、このブログシリーズを読んでいるファンの方々へメッセージをお願いします。

A:「The Unknown Journey Will Continue」というようにクラウドたちの旅はまだまだ続きます。ここから先はフィーラーが守る運命もありません。どのような未来がクラウドたちに待っているのか期待してお待ちください。

鳥山 求(共同ディレクター(シナリオデザイン))

最後のブログまでお付き合いいただいて本当にありがとうございます。開発チームは現在次作を鋭意制作中となります。次作では、ストーリーはミッドガルを脱出してワールドマップへと広がっていきます。ストーリーだけでなく、ゲームデザインでも前作から更なる驚きの連続となるような作品をお届けできるように私自身、日夜開発に努めています。
時期が整いましたら色々と情報を発信させていただくことになりますので、今しばらくお待ちいただければと思います。
この度は皆様にメッセージをお伝えできる機会を頂けたことに感謝しております。

浜口 直樹(共同ディレクター – ゲームデザイン/プログラミング)

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