世界中で遊ばれているアナログTCG、『ファイナルファンタジートレーディングカードゲーム(FF-TCG)』には、ファイナルファンタジーシリーズからたくさんのキャラクターやモンスターが登場しています。懐かしいイラストがカードになって登場している一方で、実は、『FF-TCG』のために描き下ろされたオリジナルのイラストが多数収録されています!
本特集では、収録されているイラストをイラストレーターへのインタビューを織り交ぜながらご紹介します。さらに、イラストの一部を壁紙としてFFポータルアプリにて配信いたします!
描き下ろしイラスト紹介&インタビュー
『FF-TCG』向けに『メビウス ファイナルファンタジー』、FFシリーズジョブの描き下ろしを担当されている浅見瑠比氏に、今回の描き下ろしについてお話を伺いました。
浅見瑠比プロフィール:
FFシリーズでは『メビウス ファイナルファンタジー』『チョコボの不思議なダンジョン エブリバディ!』にてキャラクターの衣装や装備のデザインを担当。FFシリーズ以外では『グランマルシェの迷宮』のアート制作にも携わる。
―まず浅見さんご自身のことについて、伺えたらと思います。これまでのお仕事について教えていただけますでしょうか。
浅見:スクウェア・エニックスへは新卒で入社しているのですが、その前は専門学校に通っていました。 “キャラクターデザイン”を仕事にしたくて『ファイナルファンタジーVI』など自分の好きなゲームを開発しているスクウェア・エニックスを受けました。
入社後は板鼻利幸さんのアシスタントという形で、『グランマルシェの迷宮』や『メビウス ファイナルファンタジー(以下、メビウスFF)』、『チョコボの不思議なダンジョン エブリバディ!』などに関わらせていただきました。主にキャラクターの衣装や装備のデザインをしつつ、実際のゲーム上で表示した時にどう映えさせるか、という調整を行ったりもしていました。
―その中でも印象に残っているお仕事はなんでしょうか?
浅見:FF関連ですと、やはり『メビウスFF』ですね。妖精エコーの衣装を20種類以上はデザインしたんじゃないでしょうか、入社後から今まで4年ほど、常に描き続けてきたので思い入れが深いですね。
▲『メビウスFF』“マリオネットエコー”の衣装デザイン画
―さきほど『FFVI』が好きというお話がありましたが、ゲームは普段からプレイされるのでしょうか?
浅見:そうですね、ジャンルとしてはRPG、中でもプレイアブルキャラがたくさん出てくるゲームが好きです。FFシリーズではやはり『FFVI』で、特に自由にパーティキャラを組み合わせることができるのが好きです。今は『ファイナルファンタジーXIV』をプレイしていますが、とにかくレベル上げをコツコツするのが楽しいです!(笑)
―今回描き下ろしをされた『メビウスFF』とFFシリーズのジョブイラストですが、まずどのような経緯で描き下ろしをされることになったのでしょうか。
浅見:もともと板鼻さんが『FF-TCG』向けに描き下ろしイラストを描かれていた流れで、「浅見さんも描いてみますか?」と『FF-TCG』担当の松山さんからお話をいただきました。『グランマルシェの迷宮』ではイラストも描いていたのですが、普段は設定画を描く事が多く、イラストとしてのお仕事は久しぶりでした。松山さんからは、自分のテイストで自由に描いてくれというオーダーでしたね。
―今回は特に原作のない、FFシリーズの「ジョブ」の描き下ろしをされていますが、どういった方向性で描かれたのでしょうか?
浅見:今回FFシリーズのジョブ「戦士」と「黒魔道士」を描きましたが、私らしいオリジナルデザインを描こうと思う一方で、“ファイナルファンタジーのジョブイラスト”だとしっかり認識できるものでなければならないので、自分らしさとFFらしさのバランスはかなり悩みましたね。それもあってか最初のラフからは結構変わりました。
私の中で「戦士」は物語の主人公、というイメージがあったので主人公っぽいキャラデザインにしたいと思っていました。が、最初のラフを板鼻さんに見ていただいたところ「確かに“主人公感”はあるものの、“FF感”はあまりないかも」というコメントがありました。そこで参考にしたのが原点である初代『ファイナルファンタジー』のドット絵です。その赤いカラーリングをベースにしてデザインを作りました。
「黒魔道士」も、最初のラフを板鼻さんに見せたところ「魔法使いであることは間違いないが、“黒”魔道士かどうかはこれだとわからない」ということだったので、FFシリーズの黒魔道士のデザインの特徴を調べてみました。『FFI』のドットのころから特徴的な黄色のさんかく帽子や、その後のシリーズで描かれたしましまズボンなど黒魔道士を感じる要素を散りばめました。FFのジョブはそれぞれ特徴的なシルエットやカラーリングがあって、そこがキーポイントなのかなと勉強になりました。
―そういわれてみると、確かにFFを感じさせる要素が入っていますね!逆に浅見さんらしいオリジナルの部分はどういったところに表れているでしょうか?
浅見:顔つき、表情は自分のテイストが出ているかなと思います。後は色使いと言いますか、コピックのような発色が好きなのでデジタルではあるものの、アナログっぽいタッチにしています。
―それぞれ個性的なキャラクターが出来上がっていると思いますが、ご自身の中での設定みたいなものはあったりしたのでしょうか?
浅見:そうですね、妄想は色々としていました(笑)。黒魔道士は、今後描くことがあるかはわからないですが白魔道士と対になるイメージで描いています。白魔道士は清楚かつ純ヒロインというイメージに対し、黒魔道士はダークヒロイン的で衣装も攻め攻めになってます(笑)。敵か味方かもわからないようなミステリアスなキャラクターですね。戦士は、田舎の村から出てきた青年が修行の末、立派な戦士になりました!というイメージで描いています。でも実は憧れの職業は「ナイト」で、それにはまだまだ修行が必要なんですよ・・・。
―一人のキャラクターが出来上がっているのですね!『メビウスFF』の描き下ろしについてはいかがでしょうか。
浅見:今回モグとエコーを描かせていただいたのですが、実は最初にお話をいただいた時、元のキャラクターデザインを担当した板鼻さんを差し置いて私が描いて良いキャラではないのではないか?と思い、お断りしようかと思っていたんです。でも板鼻さんに「特にエコーについては浅見の方が回数も描いているし、十分描いて良いと思うよ」と言っていただいて。すごく嬉しかったですし、それならば大切に描くので是非描かせていただきたい、と。
2枚とも共通のテーマとして「主人公(ウォル)との再会」をイメージしています。
モグは、『メビウスFF』をプレイした方はわかると思うのですが、とある理由でウォルの元から去ってしまいます。このイラストではウォルのところにモグが帰ってきて「ただいま!」と言っている場面をイメージして描きました。このモグのイラストをスリーブにもしていただけたと聞いて、とても嬉しかったです!
エコーも、ストーリー上ウォルと離れ離れになるシーンがあり、ウォルのアイテム(肩当て)を添えて「会えたのかな・・・!?」と想像できるような場面を描きました。モグもそうですが、エコーの視線の先にもウォルがいるイメージです。
『FF-TCG』のプレイヤーの中には『メビウスFF』をやっていない方もいらっしゃるかと思います。今回のイラストを見てもらって、「この可愛いキャラはどのゲームのキャラなんだろう?」という入口から『メビウスFF』を知ってもらえたらと思い、背景は省いてキャラの可愛さだけで押す絵にしました。もちろん『メビウスFF』のプレイヤーにはウォル視点で楽しんでいただけたら良いなと思います。
―『メビウスFF』への想いが感じられますね・・・!他にもこだわったポイントがあると伺っています。
浅見:そうですね、パックを開けたときに一目で描き下ろしとわかるような特別感を持たせたくて今回、ホログラムのポイント指定をさせていただきました。というのも既存のカードを見ていて、ホログラムがキャラクターの輪郭をなぞるように入っていることに気づきまして、ここまで細かくできるのであれば、ある程度指定も可能なのではないか?と思ったんです。描き下ろしでアーティストからホログラムの指定があるのは初だということで、プロデューサーの景山さんと直接お打合せをさせていただきました。今回背景にパステルカラーが入っているのですが、そこにホログラムをしっかり乗せてしまうとその色合いが出なくなってしまうんです。なので薄付きの色を残すために、背景には20~30%くらいで薄くホログラムをかけ、その上から100%の濃いホログラムをポイントで入れています。最初私はポイントの方だけ入れようとしていたのですが、それだとホロカードの豪華さが減ってしまうから背景にも薄く入れたらどうか、と景山さんが提案してくださいました。印刷会社様ともすり合わせの末、背景にもほんのりパール感のある素敵な仕上がりになりました!
▲ホログラムをポイントで指定(戦士)
―今回の描き下ろしにあたり苦労されたことはあったのでしょうか。
浅見:「ファイナルファンタジー」の看板を背負って描くものだったので、FFファンの方の思い出を壊さないように、その中で私の個性も出していく必要があるという、その塩梅が難しかったです。
―今回の描き下ろしで、いつものお仕事と違ったことはありましたでしょうか。
浅見:デザイン画の作業では、3Dモデルを作るスタッフに“情報を伝える”というのが一番の目的になるのですが、今回は“一枚の絵として仕上げること”が目的なのでそういう意味では全然違いました。今回のジョブのカードについては、いつもは最初に与えられるはずの「衣装を着せるキャラクター自体のデザイン」や「できあがった世界観とストーリー」が全くなかったので、苦労しました。1を2にするのと、0を1にするのでは難しさが段違いだと感じました。
―実際にカードとなって遊ばれるという点についてはいかがでしょうか。
浅見:自分の描いたイラストを手に取ってもらえるのがとにかく嬉しいですね。特にデッキに入っていたりすると超絶嬉しいです。実際に自分の描き下ろしが「Opus」に入った時にそのカードを中心にデッキを組もうとして、デッキってこうやって組むんだ!と気づいてTCGプレイヤーになれた気持ちでした(笑)。
―『FF-TCG』の魅力はどのようなところにあるでしょうか。
浅見:今までTCGをやったことは無かったのですが『FF-TCG』をやってみて、まず知っているキャラがたくさん登場しているので初心者でもとっつきやすいと感じました。あとはキャラと能力が紐づいているので、カードに愛着が湧くと言いますか、ちゃんと自分の知っているあのキャラを使っている、という感覚がありました。そして特定のカード(能力)の組み合わせがすごく強いなどの戦術もたくさんあり、本当に奥が深いです。あとは私が言うのも不思議な感じですがビジュアル面も、FFにゆかりのあるデザイナー陣の描き下ろしのカードがたくさんあって豪華だなあと思っています!(笑)
―今後、描き下ろしてみたいシリーズやキャラがいたら教えてください。
浅見:実はすでにジョブシリーズの描き下ろしを4枚描いているので、今後のリリースを楽しみにしていただけたらと思います!描きたい作品としては『メビウスFF』にやはり愛着があるので、また描けたら嬉しいです。あとは完全にファン目線になりますが『FFVI』は好きな作品なので描きたいですし、誰かが描いてくれないかなあと思っています(笑)。フィガロ兄弟、セリス、ロックは固定パーティだったので特に好きです・・・!作品縛りなしでキャラ単体であれば、『ファイナルファンタジーVIII』のゼルですね!ゼルのちょっとコミカルな一面がたまらなく良いんです。良いキャラなのに、絶対的に公式のイラストが少ない・・・!と常々思っています。
―今後出てくるジョブシリーズの描き下ろしも楽しみにしております!本日はありがとうございました。
▼バックナンバー
第1回:松田俊孝
第2回:伊藤龍馬
第3回:板鼻利幸
第4回:ロベルト・フェラーリ
第5回:小池紅美子
第6回:オグロアキラ
第7回:泉沢康久
第8回:齋藤茜
第9回:上国料勇
「モグ」壁紙追加!
浅見瑠比氏描き下ろしの「モグ」が壁紙になりました!
FFポータルアプリにて配信中です。
■デジタルコンテンツ(壁紙)
- アイテム名 : 描き下ろしイラスト『モグ』壁紙
- 交換条件 : (有効期限内)何度でも
◆『ファイナルファンタジーポータルアプリ』のダウンロードはコチラ
App Store Google playFF-TCGとは?
ファイナルファンタジーシリーズに登場するキャラクターや召喚獣を駆使して、1対1で対戦するカードゲーム。お馴染みのキャラクターのカードを集めるコレクションとしての要素だけでなく、ルールはシンプルながら奥の深いゲーム性による、カードゲームとしての面白さが最大の魅力。
公式イラストレーターによる描き下ろしイラストも大好評!