様々な言語で展開している『ファイナルファンタジーXVI』。今回FFポータルでは『FFXVI』のローカライズ(翻訳)を担当したチームへのインタビューを行いました!
前編ではアイテムの説明やゲーム内で語られる世界設定、はたまたゲーム内の地方ごとの方言など、『FFXVI』ならではの特徴やこだわりをご紹介いたします!
『ファイナルファンタジーXVI』ローカライズチーム
-Michael-Christopher Koji Fox氏 (ローカライズディレクター、以下Koji)
-Eve Chauviré氏 (フランス語ローカライズディレクター、以下Eve)
-Manuel Gutierrez氏 (欧州スペイン語ローカライズディレクター、以下Manuel)
――本日はお時間をいただきありがとうございます!まず『FFXVI』のローカライズがどのように進行したのか教えていただけますでしょうか。またこれまでのローカライズと比べて大きな違いはありましたか?
Koji (ローカライズディレクター) :翻訳する言語ごとに少しずつ違うと思うので、まずは私から話しますね。英語に関しては、他の言語チームよりも数ヶ月早くプロジェクトに参加しました。
今までの作品と大きく違った点は『FFXVI』チームが、英語をベースとして作りたいと言ってきたことです。レコーディングやフェイシャルキャプチャー、モーションキャプチャーに至るまで、日本語ではなく英語の台本をベースにしたいと。
これは私の今までのスクウェア・エニックスの仕事では経験のないことでした。常に日本語が先にできていて、それを元に翻訳やローカライズをしてきましたから。しかし今回は、私とJohn Taylorさん(英語トランスレーター)がその時点でできていたメインシナリオを翻訳してから、前廣和豊さん (クリエイティブディレクター&原作・脚本)とすり合わせをしました。ほぼすべての文章を一行ずつ確認し、より西洋っぽさ出すためにどのように英語に翻訳したかを伝えました。それがチームの要望であり、『FFXVI』を『ゲーム・オブ・スローンズ』のような、そもそも英語で作られたドラマのような印象にしたかったのです。
英語でより自然に感じられるように、シナリオにも色々な調整をしました。前廣さんがいいと思った部分は、日本語にも取り入れてくれましたし、逆に「ここは目的があってこうしているので、元に戻してもいいかな?」といったやり取りを何度も重ねました。
そこからボイスレコーディングに進み、まず英語でフェイシャルキャプチャーなどを行いました。それを元に、日本のチームが英語の動きに合うように日本語の台本を再調整します。そしてスタジオでの現場でもさらに変更を加えます。日本の声優さんに英語のセリフを聞いてもらい、「あ、このセリフはこう変えてもいいですか?」とか、「こうやって口を動かしたほうがいいよね」といったやり取りをしました。これは、他のプロジェクトのローカライズでも通常行われていることですし、準備してきたものでうまくいくこともあれば、うまくいかないこともあるので、収録現場で最終調整を行います。今回は英語をベースにしたことで、日本のチームがそれをやっていたわけですが、彼らにとっては初めての経験だったこともあり本当に苦労したと思います。私は「私たちの世界へようこそ、みなさん、これは私たちがすべてのプロジェクトでやっていることですよ!」と思いました (笑) 。
日本の開発チームにとっては、ローカライズに何が必要なのかを理解する良い機会だったと思いますし、私自身にとっても、第二言語や第三言語の翻訳をしていると作業量としては膨大なものですが、今回は第一言語を担当するということで、全く別の責任とタスクがあると感じました。
そして英語版の台本が完成し、それに合わせて作られた日本語版の台本とともに他の言語のチームに渡されるわけですが、ここから先の動きについては他の2人の同僚に話してもらいましょう。
Eve (フランス語ローカライズディレクター) :まず大きな違いとして、フランス語版は日本語から翻訳する方針は最初から決まっていましたが、台本が日本語で書かれたにもかかわらず、日本語のボイスは最後に収録することになったので、日本語の音声を参考にすることができませんでした。また、カットシーンでのキャラクターのフェイシャルモーションキャプチャーとリップシンクは今回日本語ではなく英語に合わせて行うことになっていました。これらの点は今までと違うやり方でした。
もう一つ違ったことは、開発チームがチームを信頼し、声優を完全に自由に選ばせてくれたことです。普段、他のプロジェクトでは主要キャラの配役の最終判断はゲームのディレクターもしくはプロデューサーが下しますが、今回は「フランス語チームに完全にお任せします」と言われました。自由に選べるのは素晴らしいことですが、同時に大きな責任も感じました。今回、『FFXVI』を担当したボイスディレクターのStéphane BollaertさんとNathalie Sionneauさんやスタジオの方々は尽くしてくれて、とても良い連携となり、スムーズに進めました。普段はオーディションに呼ぶ声優さんをボイスディレクターに選ばせていることが多いですが、今回はそれぞれの声のイメージを早い段階で伝えていたこともあり、人気のある名声優を指名することもできました。
また、フランス語の声優さんを決めた時点で、まだ日本語や英語で決まっていない役もあり、フランス語晩は「吹き替え版」ではなく「オリジナル作品」に近い部分もありました。そんなときは自分たちのキャラクターのイメージのみで作業を進めました。
Manuel (欧州スペイン語ローカライズディレクター) :『FFXVI』はこれまでとは進め方が全く違いました。これまでの作品では基本的に日本語を基準に翻訳を進めましたが、今回は英語から翻訳するように言われていました。そのため、英語チームには常にサポートしてもらい、日本語チームとの間に入ってもらいました。
英語版のテキストと、それを作る際に参考にした日本語の仮テキスト両方を使ってアイテムの説明テキストを書いていたのですが、見比べると単純に日本語の翻訳ではなく英語版としての味付けがなされていました。それぞれの言語での表現ができたことで、結果的にですが『FFXIV』のように世界観のイメージが大きく広げられたと思いますし、仕事の進め方としてもかなり満足感がありました。
Koji :少し背景を説明すると、前廣さんが私とジョンに自分たちでテキストを書くようにと、英語をベースにしたいのでアイテムの名前を付けるのを手伝ってほしいと言っていたのを覚えています。「アイテムのテキストを書かないといけないんだけど、それを書いてくれないかな。誰かに翻訳してもらうから。」と。私の「英語から日本語への翻訳者はいますか?」という質問に対して、「そこは大丈夫なので心配しないでください。」と言われて驚きましたけど(笑)
Johnさんと私で手分けして、すべてのアイテムについて100語ほどの説明テキストを自由に書かせてもらいました。私たちは『FFXIV』でアイテムの説明テキストを書いたことはありましたし、『FFXVI』のUIチームがテキストウィンドウに自動スクロールを入れてくれたので、いくつかのアイテムには少し夢中になってたくさん書きました。アイテムについてのストーリーを作るのがとても楽しかったからです。
その後、日本語にする時に、前廣さんは美的観点からすべてのテキストをスクロールなしで一つのウィンドウに表示したいと考えていました。私は英語のテキストも削らなければならないのではないかと心配しましたが、英語はそのままで構わないと言ってくれたので、最終的には日本語のみを調整して少し簡潔なものにしていました。
プレイした皆さんもそこには気づいたようで、特に日本のプレイヤーさんからは、なぜ英語の説明テキストが日本語よりもはるかに長く、情報量が多いのかと聞かれました。もしかしたら、将来的には英語に合わせた物を紹介する機会があるかもしれません。少なくとも今回は英語と日本語の2つの異なるアプローチの仕方があって、英語版のために単純なローカライズ作業を行うだけではなかった事の一例です。
もう一つ、リスキーモブ掲示板にいるモーグリのネクタールが彼の冒険について話す内容も同じように書いてほしいと打診されました。ネクタールのちょっとおかしな話を考えたのも、実は私たちなんですよ(笑)。
――アイテムや世界設定のテキストは非常に興味深いなと思っていました。『FFXVI』の世界設定の多くは、ゲームプレイの中で語られる以外にも自分で読む必要がありましたが、世界をより深く楽しめて、プレイヤーにとっても大きな収穫でした。
他の言語ではどのように考えてローカライズされたのでしょうか?英語や日本語にこだわったのか、それとももっと自由に作られたのでしょうか?
Eve:フランス語では日本語と英語をミックスしたような形にしました。開発チームと話し合った結果、各言語でオリジナルのテキストを作る許可が出たので、ほとんどのテキストは日本語(あるいは英語)のローカライズですが、アイテムヘルプなど一部のテキストはフランス語版のオリジナルになっています。珍しいやり方ではありますが、スクウェア・エニックスのローカライズチームは他のタイトルでも世界設定やネーミングの作成を依頼されることがよくあります。それぞれの言語では意味や意図が同じで、根本的な違いはありませんが、言語間より、同じ言語の中で世界構築や言葉の一貫性に集中したわけです。したがってアイテムヘルプなどでは特定の言語でしか存在しない内容もあります。これは『FFXVI』においては、Kojiさんが説明したように、開発チームはローカライズチームに設定に関与してほしいという要望があり、世界構築やロアを作成するように望んでいたからです。
Koji:私たちに与えられた自由の大きさには驚かされましたが、私やEveさん、今回のローカライズチームの多くが過去に『FFXIV』チームと一緒に仕事をし、信頼関係を築いていたからだと思います。前廣さんとは何度も話をしましたが、彼のローカライズに対する考え方は、私が一緒に仕事をした人の中で最もオープンなものです。彼は、シナリオや設定の最初の意図、雰囲気、そして私たちが伝えようとしていることが維持されている限り、それを伝える手段はそれぞれの言語で最適なもので表現しなければならないと考えています。だからこそ、コアがとても重要なのです。どの言語でプレイするかによって異なるストーリーだと感じてしまうことがないよう、それぞれの言語を使用している文化に合った感覚で物語が展開され、それがとても自然に感じられる事が重要なのです。世界中のファンの皆さんの感想からも、どの言語でプレイしても自然に受け入れてもらえているようだと感じますし、前廣さんが私たちを信頼して任せてくれたからだと思います。
Manuel:欧州スペイン語においては基本的に英語から翻訳しました。なぜなら、それらは丁寧で詳細に説明されているだけでなく、内容が本当に面白いと思ったからです。英語に従うことが正しい選択だと感じました。
――私は日本語ボイスと英語テキストでプレイしましたが、この2つの間の会話表現には違いを感じました。シーンによっては、キャラクター同士のノリが少し違うように思うところもあったりしましが、これは意図的なものでしょうか、それとも自然にそうなったのでしょうか?そのような違いを取り入れた理由は何ですか?
Koji:今回においては最初に英語が作られたので、それに合わせるかどうかを決めたのは日本のチームということになりますね(笑)。通常、第二言語に翻訳する立場では、トーンを第一言語に合わせるか、どこかで逸脱するかという決断が常にあります。難しい選択ですが、これも前廣さんとメインシナリオのすべてのセリフを1ヶ月以上かけてやり取りしながら確認しました。一度Johnさんとも会って、例えばクライヴが特定のセリフをどのように演じるのかといったことの確認に、実際にキャラクターを演じてみたりもしました。
ボイス収録の際にも、キャラクターのテンションなどについて前廣さんから説明を受けていました。他の言語のボイスがあれば、声優さんはそれに合わせて演技をしますが、今回は英語が最初だったので、声優さんたちは「自分たちでキャラクターを作っていきます!」と言って、それに全力を注いでくれました。例えばクライヴを演じたBen Starrさんやシドを演じたRalph Inesonさんは、収録の際にキャラクターを作っていたことが多いと思います。そこに私たちの要望を伝えることで、それを取り入れて最終的に形にしてくれました。
だから、キャラクターイメージを作ることに関しては、少なくとも英語版では、私たちだけではなく、その半分は実際に演じてくれた声優さんたちのおかげで出来上がったと思っています。彼らは何ヶ月にも及ぶ収録の中でキャラクターのすべてを学び、彼らを体現し、彼らになりきってくれました。クライヴというキャラクターは前廣さんであり、私やJohnさんであり、それと同じくらいBen Starrさんでもあるのです。
――みんなの力で作り上げたものだったんですね。他には何かありますか?
Eve:フランス語版の場合、「ソース言語は英語ですか日本語ですか」とよく聞かれます。「ファイナルファンタジー」メインシリーズの他タイトルと同様に、翻訳にこだわり日本語から直接翻訳しています。そのおかげで、シナリオチームの意図に正確に合わせることもでき、日本語で台本が書かれていると並行して効率よく進むことができます。『FFXVI』においては、基本的には日本語から訳しましたが、英語版の要素を取り入れることもたびたびありました。英語で日本語がどのようにアレンジされているかを確認していたという感じですね。ただし、フェイシャルモーションキャプチャーやリップシンクは英語の声優さんをベースにしているため、ソース言語は日本語ですが、他の作品と少し違い、複雑なプロセスで、すべてのテキストが日本語の内容に完璧に一致しているわけではありません。
Manuel:最初に言いましたが、私たちは英語と日本語の両方の台本を利用していました。そして、設定やテキストがなぜそうなっているのか背景まで理解ができる英語版から主に翻訳しました。欧米のプレイヤー向けの英語テキストのほとんどは、欧州スペイン語圏のプレイヤーにも通じるからです。ただ、欧州スペイン語のプレイヤーには合わないと感じたフレーズが時々出てくることもあり、その場合は日本語から翻訳しましたが、数えるほどしかありませんでした。
――英語からではなく日本語から翻訳したのはどのようなものでしたか?
Manuel:ネタバレにならない程度に言いますと、英語であるキャラクターが「貴様!」と叫ぶシーンがあるのですが、これは欧州スペイン語ではあまり通用しない表現でした。日本語ではこの部分が「貴様」ではなくキャラクターの名前を叫ぶようになっていて、こちらの方が表現として近いと思って名前にしました。
――呼びかけ一つでも違いが出るのですね、とても興味深いです (笑) 。
続いて、先ほどKojiさんから『ゲーム・オブ・スローンズ』のタイトルが出ましたが、特にこのシリーズを意識したのか、それとも西洋ファンタジー全般をイメージしていましたか?
皆さんの創る『FFXVI』の世界にどのような影響を与えたのでしょうか?
Koji:私がプロジェクトに参加したときに、『FFXVI』プロデューサーの吉田直樹さん、メインディレクターの高井浩さん、そして前廣さんの全員が「『ゲーム・オブ・スローンズ』や『氷と炎の歌』が多くの人に響いている。これが自分たちのやりたいこと」と言っていました。だから、カットシーンのチームをはじめ、関わる全ての人の頭の片隅に『ゲーム・オブ・スローンズ』があったと思います。私にとっても、ローカライズの中でどうやって『ゲーム・オブ・スローンズ』の雰囲気を組み込んでいくか、というところは大きなポイントになっていました。
テレビドラマ版の『ゲーム・オブ・スローンズ』は、ファンタジーをしっかり感じさせながらも、原作であるGeorge R. R. Martin氏が小説の中で使う、重厚で古風な言葉に慣れていない視聴者にとってもわかりやすくなっていて、素晴らしい仕事をしていると思いました。私たちもそれを目指して、多くのプレイヤーが理解できないような古い言葉やことわざを使わないようにしました。セリフや説明を理解するのが難しいと感じてしまうとそこでシャットアウトしてしまって、物語の続きを進めていく意欲がなくなります。これは間違いなく私たちが望んでいることではありませんでした。
だから、私たちは自分たちがローカライズを進める上でいくつかのルールを設けました。例えば、古典のような言い回しはできる限りしたくなかったので、18世紀以降の古典的な言い回しも避けるというものです。18世紀以前の表現となると、もう誰も理解できないようなものが多いですが、その中でも現在まで使われている表現を使ってちょっと古風に感じるものにしました。そうすれば、現代的になりすぎずにファンタジーの雰囲気を維持することができると考えましたし、『ゲーム・オブ・スローンズ』のテレビドラマもそうだったと思ったからです。
『ゲーム・オブ・スローンズ』以外にも、英語チームは『ラスト・キングダム』から多くのインスピレーションを得ています。特に、ヴァイキングが北欧訛りで話すという『ラスト・キングダム』を見て、ウォールードの騎士を北欧系にするという選択をしました。これは、基本としてイギリス英語の発音があり、他のキャラクターが北欧訛りで登場するという状況に違和感がないことを感じたからです。以上が、英語ローカライズチームが得たファンタジー表現のインスピレーションの一部です。
――『ゲーム・オブ・スローンズ』はフランスやスペインでも人気があると思います。それぞれの言語ではどういった関わり方になったのでしょうか?
Eve:『ゲーム・オブ・スローンズ』の影響を最初から意識していましたが、テイストなどを考慮し、フランス語でどこまで合わせるかは悩みました。結局、『ゲーム・オブ・スローンズ』より、ヨーロッパの中世の歴史を主に参考しました。注意点として、音声付きのゲーム制作にあたり、リアルな歴史的な話し方にすることは難しいところです。まず言語学的な正確さが難しく、それに現在のユーザーから見てどこかばかげて聞こえてしまったり、映画『おかしなおかしな訪問者』のような中世のコメディのようになってしまうリスクもあります。それを踏まえた上で、『FFXVI』ではほぼ現代的な口調と発音で話すような方針で決めました。本格的な中世口調にするのはハードルが高く、ユーザーには受けが悪かっただろうと判断しました。
ただし、台本以外のフレーバーテキストでは、地名や中世の職業、古代の形容詞や昔の表現を組み込んだり、世界観の要素として語彙にこだわりました。武器や素材、その他の特殊な語彙については、歴史的に正確な名前を使用するように心がけました。フランス語版のイメージとしては、それがメインとなりました。
Manuel:11世紀から15世紀に記された原稿を掘り下げて参考にしながら、ゲームで使われている中世スペイン語に歴史的な雰囲気を吹き込みました。『FFXVI』の表現について、メディアさんの反応を見るのは興味深く、私たちが使用した用語に出会ったことがないという人もいました。また、ゲーム実況者さんの中にはポルトガル語ではないか、と尋ねる人もいましたね。
さらに、開発チームが『ゲーム・オブ・スローンズ』の方向性を目指していると聞いたとき、納得しましたし素晴らしい目標だなと思いました。私たちも『ゲーム・オブ・スローンズ』には没頭していましたし、その他にも『ウィッチャー』のシリーズを読み込むことにも時間を割いていました。その影響は、特にセリフの中に出ていると思うのですが、『ウィッチャー』のスペイン語訳本は本当によくできていて、私たちはそこで描かれている会話も参考にしました。
――ありがとうございます!Kojiさんは、ウォールードが北欧訛りになった理由を挙げていましたが、英語以外の言語での地域やキャラクターごとのアクセントの違いはどのように選ばれたのでしょうか?
Koji:今回のローカライズを行う時、方言というものを中心にしたいと考えていました。多くの場合、ゲームではイギリス英語を使うと言っても、実際にはさまざまな種類のイギリスの言葉が混ざっている状態になってしまっていると思っています。多くのアメリカ人やイギリス出身ではない人は、それを聞いてイギリスっぽいと思うのでしょうが、イギリスの人が聞くと「なぜこの人は北方の言葉を話しているのに、この人は西方の言葉を話しているんだろう、この人はウェールズの人なのかしら?」と感じることになり、イギリス人からすると嘘っぽい感じなってしまうのです。カリフォルニアを舞台にしたテレビ番組で、ニューヨーク訛りの人やボストン訛りの人、ミシシッピやテキサスの訛りの人がいて、みんなカリフォルニア出身だと主張するのと同じような違和感があります。アメリカにいる私たちは、「いや、彼らはボストンから来たんだね」とか「彼はニューヨーク出身だ」と言いますが、それはイギリスにおける地方の訛りでも同じように存在するのです。
様々な種類のイギリス英語の訛りは、すべて地域や歴史にリンクしています。『FFXVI』でそれぞれの国のアクセントを選ぶ際には、キャラクターがどういう出身で、どのようなタイプの人々であるかを伝えることができるものを選びました。だから会話のボイスを聞いただけでロザリア出身なのかザンブレク出身なのか、私たちが選んだアクセントですぐにわかるようになっています。
そのため、ヴァリスゼアの様々な地域とそこに住む人々を表すために、イギリスの様々な地域の方言を選びました。ウォールード王国は別の大陸にあるため例外ではあります。人々が住んでいる場所によって言語が自然に少しずつ変わっていき、それが一つの大陸の上にあると思っていて、海峡で隔てられているウォールードでは、より遠く離れているためにさらにずれが生じていると考えました。
Eve:英語版ではさまざまな方言が導入されていますが、フランス語版では日本語と同じように、方言を加えないことにしました。まず、一般的にフランス語の吹き替え版では方言を使うことがほとんどなく、方言や外国訛りのあるキャラクターの描写自体は倫理的にはデリケートなところです。音声ではそういった要素はないものの、プレイヤーさんが気づいたようにゲームのそれぞれの地名や人名、そのスペルと発音は現実の言語に基づいています。ダルメキア系の名称はチェコ語に基づいており、ザンブレク系の名称はフランス語に基づいています。その点で、そういった実在する名称の適切な表記や発音にこどわりました。また、古ノルド語やゲール語に基づいている名称も使いました。
特にザンブレク皇国ではベースにしたのがフランス語だったので、地名については実存しそうな地名や人名を作ろうとしました。他のチームにもスペルや発音について話し合いました。つまりゲーム内の各地の地名や人名に関しては本格的さにこだわりました。
Manuel:残念ながら、欧州スペイン語にはボイスがなかったので、地域ごとの差という点ではあまり表現できませんでしたが、いくつかの特徴を追加しました。例えば、グツの性格は話し方から伝わってきますし、カロンは昔ながらの汚い言葉をたくさん使っています。
――面白いですね!日本語の方言も、ファンタジーの設定で活かせるようなバリエーションはあまりないかなと感じているので、それに近いのかもしれません。
では、ここで一旦話を区切らせてください。『FFXVI』のローカライズに対する考え方やこだわりについて、たくさんのお話ありがとうございました!
インタビューは後編に続きます。後編では「アクティブタイムロア」のシステムや召喚獣などについて、さらに深く掘り下げていきますのでお楽しみに!
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ゲーム序盤クリア後は、本作の特徴である召喚獣の能力を駆使しながら闘っていくバトルアクションをさらにお楽しみいただける特別仕様版「召喚獣アクション トライアル」がプレイ可能です。
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『ファイナルファンタジーXVI』とは
「ファイナルファンタジー」シリーズナンバリングタイトルの完全新作。
終焉を迎えつつある世界「ヴァリスゼア」——
"黒の一帯"が押し寄せる世界で、各国はエーテルを生み出す源である「マザークリスタル」を求めた。
やがてそれは戦乱を呼び、強大な召喚獣の力を宿す「ドミナント」達は、戦いへと駆り出されてゆく。
物語の主人公にして、ロザリア公国の第一王子である「クライヴ・ロズフィールド」もまた、
召喚獣フェニックスのドミナントである弟のジョシュアとともに、
この巨大な戦乱の渦に巻き込まれるのであった。
過酷な運命を背負ったクライヴは、やがて世界の真相を知り、
マザークリスタルの破壊を目指してゆくこととなる……
これは——クリスタルの加護を断ち切るための物語。
キャラクター紹介
クライヴ・ロズフィールド
ロザリア公国の第一王子にして本作の主人公。ロズフィールド大公家の嫡男として生まれるも、フェニックスのドミナントとして覚醒せず、その役目は弟のジョシュアが担うことになった。クライヴは剣の鍛錬を積み、御前試合にて実力でナイトの称号を得る。クライヴは正式にジョシュアの盾となり、”フェニックスの祝福”を与えられ、その能力の一部を使用可能となった。やがて彼は大きな悲劇に巻き込まれ、惨劇を引き起こした謎の召喚獣”黒きイフリート”を追う復讐者となる。
ジョシュア・ロズフィールド
ロザリア公国の第二王子にして、クライヴの実弟。10歳。その身に召喚獣フェニックスを宿すドミナントである。兄のクライヴを尊敬し、貴族の生まれながら、分け隔てなく人に接する気さくさを併せ持つ。武よりも書を好む性格で、病弱な自分よりも、兄クライヴがフェニックスを宿すべきだったと考えている。ニンジンが苦手。ジョシュアもまた、クライヴ同様に、大きな悲劇へと巻き込まれてゆく。
ジル・ワーリック
幼い頃、北部部族より和平の証としてロザリアに預けられ、ロズフィールド家に身を寄せていた。クライヴやジョシュアと共に育ち、兄妹のような間柄になる。礼儀をわきまえ、クライヴやジョシュアを気遣う心優しい彼女は二人の良き理解者であった。しかし、数奇な運命に翻弄され、やがて召喚獣シヴァのドミナントとして覚醒することになる。
トルガル
ジルと同じく大陸北部に出自を持つ狼がトルガルである。クライヴとジョシュアの父エルウィンが、北部遠征の折りに群れからはぐれたトルガルを連れ帰ったことで、ロズフィールド家にて育つ。幼年期に起きた大きな悲劇から難を逃れたトルガルは、やがてクライヴと再会し、その過酷な旅路に付き添う心強き仲間となるのであった。
シドルファス・テラモーン
“誰もが人として死ねる場所”の実現を唱え、迫害を受けるベアラーや、政に翻弄されるドミナントを保護する組織を率いるのが“シド”ことシドルファスである。一方で大陸を蝕む“黒の一帯”の研究にも取り組むなど多方面で活動している。召喚獣ラムウのドミナントでもあるシドルファスは、かつてウォールード王国に籍を置き、ベネディクタとも面識があるようだが……。
<商品概要>
タイトル | FINAL FANTASY XVI(ファイナルファンタジー16) |
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対応機種 | PlayStation®5 |
ジャンル | アクションRPG |
プレイ人数 | 1人 |
発売日 | 2023年6月22日(木) |
CERO | D |
ボイス対応言語 | 日本語/英語/フランス語/イタリア語/ドイツ語/スペイン語(ラテンアメリカ) |
スクリーン言語 | 日本語/英語/フランス語/イタリア語/ドイツ語/スペイン語(ラテンアメリカ)/スペイン語(スペイン)/ポーランド語/ポルトガル語(ブラジル)/アラビア語 |
権利表記 | © SQUARE ENIX LOGO ILLUSTRATION:© YOSHITAKA AMANO |