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  • 2020.08.20

『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター』発売記念スペシャルインタビュー!

『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター』が8月27日に発売となりますが、それに先駆けて、オリジナル版『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル(以下FFCC)』制作スタッフに当時のお話をお伺いしました!
『FFCC』とはどんなゲームなのか、初めて遊ぶ人も昔遊んだ人も予習復習できるスペシャルインタビューです!(※画像はすべて『FFCCリマスター』の物です。)

河津秋敏
『FFCC』プロデューサーを務める。
また、『FFI』『FFII』の開発に携わった後、『魔界塔士Sa・Ga』を制作。『サガ』シリーズの生みの親として総合ディレクターを担当している。

青木和彦
『FFCC』ディレクターを担当。
ほか、『FF』初期のゲームデザインや、『半熟英雄』、『チョコボの不思議なダンジョン』にも携わる。

板鼻利幸
『FFCC』アートディレクターを担当。
ほか、『FFIX』や『チョコボの不思議なダンジョンシリーズ』、最近では『メビウス FF』、『NieR:Automata』でもキャラクターデザインを務めた。

――『FFCC』というと、『FF』シリーズでは当時としては独特だった、みんなで集まって遊ぶアクションRPGでした。
これは企画時から考えていたものでしょうか?

河津:最初からGC(ゲームキューブ)とGBA(ゲームボーイアドバンス)を繋いで遊ぶ、というところは決まっていました。ただアクションになるかどうかは決まっていたんですっけ?
青木:4人で遊ぶとなると、アクション的な要素がないと一つの画面で遊べないなっていうところはありました。だからアクションになるんだろうなと思っているところはありましたね。
河津:最初からアクションRPGを作りましょうと言って始めたわけではなかったと思います。
青木:GBAを繋いで遊べるゲームを作りましょうということで…。
河津:そう、それで企画書を募集したら大体みんなアクションぽい物を考えていて、繋ぐのは二人でもいいし一人でも遊べるものということでアクションRPGは最初からあがっていました。
そういえば、板鼻君は最初はいなかったよね。
板鼻:そうです、私は途中からの参加でしたね。
青木:板鼻君は、当時『FFXII』チームにいたのを皆葉君に頂戴ってお願いして『FFCC』チームの方に来てもらったんですよね。
河津:アートチームのヘッドが、デザインがまとまらないと悩んでいたので板鼻君に来てもらったんだけど、それからは絵が具体的にまとまるようになっていきましたね。
ちょっと話が脱線しましたが、自分はもうちょっと、いわゆるRPGっぽいものっていうのを考えていたんですよね。それぞれのGBAの画面にヒントとか情報が表示されて、それを見てみんながGBAに入力をした結果がテレビの画面に表示されるような、アクションというよりはテーブルトークに近いような物を考えていましたね。ただ、そういうことを考えていたのは自分だけだったし、みんなでワイワイやるアクションゲームというのが意見としても多かったからその方向で行こうと決めましたね。

――みんなで集まって遊ぶという事でアクション性の高いものになったという事ですね。もう一つ、GCとGBAを繋いで遊ぶゲームというのがポイントとして出ました。

河津:そうですね、GCとGBA繋いで情報をやり取りするわけですが、その情報量がすごく限られていました。そこで何か映像を流したりするという事ができるほどのやり取りはできなかったわけです。そう言った理由で限定的な情報しか映せないのはわかっていたのですが、それを見ながら遊ぶっていうのは企画の根本として決まっていたので、外すことはできない要素になっていました。

――GBA側に表示される情報はそれぞれのプレイヤーごとに違っていましたよね。

河津:それは割と最初の方から違ってた方が面白いよねみたいな話はあったものの、初めからそういう風に作っていたかというとそうでもなかったような気はしますね。ただ、実際途中のバージョンがどうだったかまでは覚えてないところもありますね。

――4人集まって遊ぶというのも重要な要素だったのでしょうか?

河津:その場で通信して遊ぶっていのはGB(ゲームボーイ)なんかでもありましたし、『FFXI』のようなネットワークを繋いで遊ぶという事をやり始めていた時期でもありました。『PSO(ファンタシースターオンライン)』のようなMORPG(複数プレイヤーが参加するタイプのRPG)もあったりしたので、それをみんなで集まってやるのはどうだろうかという風に考えていました。GCをホストに使ってネットワーク上にあるような遊びが目の前に出てくる、というような考え方は任天堂さんの方にもあったと思うので、それを利用した形で何かできないかなという事だったと思います。

――4人まで遊べるという事で『FFCC』には4種族が登場しますが、これはプレイヤーの数と合わせたものなのでしょうか?

青木:4人プレイでやるというのと、4人がそれぞれキャラクターにある程度特色を持った形でプレイしたほうがいいのかな、というところはありました。
制作時に、どこにコストをかけるかという判断になったときに、FFの派生ではあるので魔法やモンスターはそのまま持ってくることができた。だからその辺の説明は不要となったので、だったらプレイヤーが直接触るプレイヤーキャラクターの部分にいろんな種類を作って、そこに時間をかけようかという事になりました。4種族に男女があって、それぞれ4種類の見た目がある、合計32種類から選べるようにしました。
当時発売された『FFIX』や開発中だった『FFXII』からモンスターのモデルを借りたりすることで、キャラクターを作る方に時間をかけた形です。

――そうしてバリエーションのあるキャラクターが生まれたのですね。キャラクターデザインも普通の人間タイプからユーク族のような特徴的な見た目の物もいますが、これはどのようにデザインされたのでしょうか?

板鼻:人間タイプと魔法生物がいるみたいな話はあったのですが、4種族いてみんな人間みたいな見た目だと種族によっての違いが出しにくかったので、見た時のシルエットのバランスで変えていきたいなというのは考えていました。
アクションゲームなので動き回った時に細かいところを変えても見分けがつかなかったりするのかなと思って、背が高い、低いとか、セルキーだったら上の方の肩や胸にボリュームをがあるような、クラヴァットだったら下の方にボリュームを持たせたシルエットにしたりというのを起点にデザインをしていきました。
初めの方はネコ耳の獣人とかも案としては考えたりしたんですが、河津さんがすごい嫌がって(笑)。
それで動物人間が嫌なら植物かと思いリルティを作ったりしましたね。

――4つの種族はそれぞれ、「温」「武」「智」「我」の民というような設定がありましたが、これはデザインをする前から決まっていたのでしょうか?

板鼻:後からですね、確か。後からプランナーさんが考えてくれたような気がします。
青木:戦闘特性だけこういう風な形に特化した種族が欲しいというのを決めて、それ以外はお任せという感じで進めていたと思います。

――皆さんはお気に入りの種族や、この種族でプレイしていたというのはありますか?

河津:普通にクラヴァットだった気がします、というかチェックする時に使うキャラは大体クラヴァットだったので。個人的にはユークの見た目が好きなんですが、ソロプレイにはあんまり向いてなかった気がして、普通に殴って強いキャラを使っていたんじゃないでしょうか(笑)。
青木:僕はですね、板鼻君が覚えているかわからないんですけれども、4種族・男女・4パターン作る中でどうしてもネタが出てこないんです、って言われた事があったんです。じゃあ白ベースに青いスカートにすればっていう女の子のイメージを話したんです。それで作ってもらったのが「らくんてーる」の女の子だったんですけれども、チーム内で全く人気がなくて誰も使ってくれなかった(笑)。
なので責任を取って僕はいつもその子を使っていました。
板鼻:それは僕のデザインの力不足っていう事ですね(笑)。
僕はユークが好きで、やっぱりユークもなんというか人気がなくて(笑)。
みんなセルキーとかを使うので僕はユークを使おうかなと思って使ってました。アクションゲームなので当たり判定があるんですが、確かそれが体のバランスに対して正確に取られていたと思うんですよね。なので『FFCC』では体の大きさによって違っていて、ユークだけ最後に当たってしまうビームみたいな攻撃があったりしたと思うんですよね、背が高いからなぎ払われちゃう。人気はないわ攻撃は食らうわで、ある意味河津さんのゲームらしいなと(笑)。

――結構悩まれていたというようなお話もありましたが、デザインにはやはり時間がかかりましたか?

河津:ユークっていうと、もともとハイランダーって呼ばれてたよね。
デザインについては結構かかってたような気もしますけどね。クラヴァットとセルキーにあまり違いがないんじゃないとか、今の物とデザインラインが違ってたり、結構な変遷をたどってたように思います。
板鼻:そうですね、リルティも今より背が高かったりしてましたね。
河津:さっき言ってたような当たり判定の話もあったり、これはプログラマーが優秀すぎて普通は共通の物を使って同じにするところをそうしないで、モデルから個別に計算された形にしてたり処理が一段上になったせいでそうなっちゃった(笑)。

――では続いて『FFCC』の世界についてお伺いしたいのですが、瘴気とクリスタルケージがゲームのシステム的にも世界設定的にも重要な物となっています。これは企画当初から考えていたものでしょうか?

青木:開発当初から僕の方で実現したいと考えていたことがいくつかありました。
あの頃は一画面を多人数で共有してスクロールして遊ぶゲームというのが、プレイヤーが画面の端にいてボタンをポチポチ押して敵を倒してしまうようなものが多く、画面内では何をやっているのかわからないと感じていました。だから画面の中で何が起こっているかという事をみんなで共有して、そうしないと協力プレイをすることもできないと思ったので、画面の中心にプレイヤーを釘づけにしておく方法をチーム内で募集しました。その中で、ある一定範囲から離れたら毒か何かでやられてしまうようなギミックを入れたらいいんじゃないか、という案がありました。じゃあ中心にクリスタルを置いて一定範囲が守られている設定にして、そこから外に出た時にダメージを受けるというシステムを作れば、みんな画面の中心で何をしているかわかるでしょう、というところからクリスタルケージと瘴気という世界設定ができていきました。

――システムとして考えられた物が世界観を作る重要な設定になっていたんですね。では主人公たちクリスタルキャラバンが旅をして訪れる数々のエリアはどのように生み出されたのでしょう?

青木:ぶっちゃけてしまうとイベント班のみんながどんどん案を出してきてくれた結果です。作りたいものは見えていたので、それぞれについてこうだよねっていうところを詰めていった結果が最終系になったと思います。

――各エリアに入るときに流れるナレーションが非常に印象的でしたがこれも世界観を作るために入れようと思ったものなのでしょうか?

青木:もちろん世界観の表現としてという部分はあります。それに加えて、プレイする前にマップをあらかじめ見てもらう、という意図がありました。ある程度こんな風なマップなんだとかこんな風なモンスターがいるんだというところをなんとなく見てもらえたらなと思っていました。
色々なテイストで書かれたテキストですが、主人公たちはキャラバンという事で旅に出るわけですけど、旅情感というか旅に出るんだという雰囲気を出したいなというところがあって、ナレーションも旅人に対してのメッセージ的な部分があったと思います。

――印象に残っているエリアやボスはいますか?

河津:もともと各エリアを作るときに、このボスを使うからそれに合わせたマップを作らなきゃな、といった感じで作っていたところも多くて、ストーリー的にこういうところに行かなきゃいけないから作りましょうとか。青木さんのお話でもあった通り、モンスターまわりは他から借りたものなどもあったので、それに合わせた部分も大きかったですね。そういった意味では特別これという印象はあまりないですね。
板鼻:デザイン的にはジャック・モキート(ギガースロード)は他と違って面白かったですよね。エリアも寓話っぽい世界観でトンベリがコックをしてたりとかかわいい世界観だった。あとは、ティダの村の粘菌っぽいやつも、オリジナルで作られたものだったと思いますが面白かったと思いますね。
青木:遊び方として面白いと思ったのはてつきょじんですかね。剣を運んでくるモンスターを倒すと使う剣の数が減るっていうギミックがありました。

――最初に訪れるエリア、リバーベル街道のボスであるジャイアントクラブはその後のシリーズでも登場しますよね。

河津:どうなんでしょう、最初にデモ用に作ったボスではあるのでそのせいなのかなと思いますけどね。
青木:開発スタッフが一番対戦しているボスではありますね。
河津:そうですね、カニだ!っていう感じで。『聖剣伝説』でもそうですけど、なぜかカニになっちゃう。その結果、歴戦のカニとして刺さっている武器がどんどん増えていった(笑)。

――『FFCC』はBGMも独特な、谷岡久美さんによる民族音楽のようなテイストの楽曲が多かったですが、これはそういう世界観を狙ったものだったのでしょうか?

河津:確か谷岡さんが古楽器を使いたいというところから始まったんですよね。それとシナリオの片岡さんがアイルランド系の音楽をやられていたこともあって、世界観もそうですけどケルトっぽい雰囲気っていうのはありましたね。

――「カゼノネ」「星月夜」という主題歌も非常に人気ですが、これも当初から考えられていたものですか?

河津:これは最初に言い出したのは誰だったっけ?
板鼻:確か片岡さんじゃなかったですか、主題歌を担当してくださったYaeさんも指名だったような。
青木:そうですね、指名だったと思います。当時、谷岡さんをはじめサウンドメンバーと一緒によくカラオケに行ってて、こんな曲はどうだろうみたいな話で盛り上がったりはしてたんですよね。なんとなくそんな雰囲気を汲んでくれたのかなっていう(笑)。
板鼻:そういえばYaeさんは先ほども話に出た各エリアのナレーションも担当されているのですが、リマスター用のナレーション収録に立ち会わせていただきました。当時から考えると17~18年経っているので声も少し変わっていて、当時は若い女性が語っているような感じだったんですが、今回の物はお母さんになったクラヴァットの女性が語って聞かせているような感じになっていてすごくいいなと思いましたね。

――リマスター版のサントラも新しく発売されますし、ナレーションも含めて耳でも『FFCCリマスター』の新しい世界観に触れてもらいたいですね!
では、続いてなのですが、『FFCC』は一人でも遊ぶことができるゲームで、その時の相棒としてモーグリがいました。モーグリを相棒にした理由などはありますでしょうか?また丸いモフモフデザインになった理由はありますでしょうか?

青木:モフモフは完全に後付けではあるんですが、GCの機能でこういう風にすれば毛が伸びてたり刈ったりすることができるよ、という話があってじゃあそれをやってみようという事でモフモフのところを付けたという感じですね。
モーグリを相棒にした理由としては、モーグリは空をふわふわ飛んでいるので移動制限があまりなかったという理由ですかね。
板鼻:デザインは実は色んなバリエーションを描いてたんですよね、手足があるものとかネコっぽいものとか『FFIX』のデザインに近いものとか。天野喜孝さんが何かで描かれたアートの中に丸いモーグリがあって、それを参考にしたものもその中にありました。それを河津さんに持って行ったんですよね、確か。ただ、当時の河津さんは忙しくてチェックを持って行っても振り返ってもくれないことがあったりして(笑)。
モーグリを持って行ったときは見てくれて、一発で丸いデザインを選んで、これでって言ってくれたのを覚えてますね。いつもはあんまりいいって言ってくれないので印象に残ってます。
河津:手はあった方がいいですかっていう話になって、手があるものとないものを比べたんですけど、明らかに手がない方がかわいかったんですよね。それで手がない方を選んだんだけど、手がなくて大丈夫なのみたいな話になって、でもモーグリだしって。
でも、モーグリにクリスタルケージを運ばせようっていうのはいつ考えたんだっけ?
青木:結構開発の最後の方だった気がします。まずは4人で遊ぶ事をしっかり完成させて、じゃあ一人で遊ぶ時はどうしようか、という話だった気がしますね。
河津:そうでしたよね、クリスタルケージも自分で運んでましたもんね。

――モーグリ以外にも他の国や村のキャラバンをはじめとしたたくさんのNPCがいますよね。

青木:手紙や思い出がどれくらいの種類が作れるかなというのがポイントで、出会いが積み重なって最終的なエンディングに繋がってくる部分もあったので、イベント班がどのくらい作れるかっていうのの限界まで頑張って作ってもらいました。

――ではそういったキャラクターごとの物語は最初から想定されたものではなかったのでしょうか?

青木:ゲームを作るときに悩むべきところなのかもしれないですが、4人で遊ぶアクションゲームでどの程度ストーリーを見られるかというところと、実際に4人でプレイしていくつかのステージをクリアした時にそれでおしまいにするべきなのかという話になってきます。
一人で遊ぶときは一人でじっくり、4人で遊ぶときは4人の楽しみを活かした上で、物語的に全てを把握しなくてもエンディングまでたどり着けるよね、っていう上手い塩梅が出来上がったんだと思います。

――確かに登場するNPCすべての物語を知らなくても時間は流れていきますし冒険も続いていく。ただ、出会って話すとより深く『FFCC』の世界を知ることはできました。

青木:そうなんです。そういう形でやりたい人が浸っていってくれたらいいな、と考えていた部分はありました。
河津:イベント班には手紙を専門に作ってくれている人がいて、ひたすら手紙の文章を考えて書いてくれました。本当に大量の手紙を作っていたので、大変な作業だなと思ったのを覚えています。
青木:あれは、この場合この手紙を送るというのを管理するのも大変でしたね。

――NPCでは印象的なキャラクターはいますか?

河津:なんかムカつく奴がいたなーっていうのは覚えてるんだけど、誰だっけな(笑)。
なんか会うたびにちょっとイラッとするようなことを言ってくるんですよね、なんだよお前ってなる。
板鼻:たぶんガーディですよ(笑)
私も同じで、はじめイラッとさせるんだけど、話していくうちにそれだけじゃないんだなっていう深みが出てくる。当時、彼をデザインする時にそういう細かい設定を聞かされないまま、旅してる怪しげな僧侶じゃないけど伝道師みたいな人を描いて欲しいと言われて、全然内容を知らないままで描いたんですよ。
青木:私は、カビだらけのパンを見ながら「これが世界のモデルケースだ」というユーク族がいて、確かアミダッティだったかな。彼が言う世界のモデルケースという言い方を、私も当時よく使ってました。

――開発当時に苦労した事や印象に残っているエピソードはありますか?

河津:多人数アクションというのを作ったことがなかったので、企画の最初のところでどうやって面白くしようかなっていうのが一番悩んだと思います。ゴブリンを殴ってやっつけてる間はいいんですけど、それ以上のことをちょっとやろうとするとゲームの満足度を上げるのが急に難しくなるんですよね。ちょっと強い魔法を入れるとあっという間に敵がやられてしまうとか…。
ゲーム自体の感触がそれまで作ってきたコマンド式のRPGとは全然違ったので、この辺の文法や体験を開発チーム全員が作りながら感じて、少しずつ自分たちが作っているものをわかっていくような手探り感があって最初は大変でしたね。
殴って倒すところまではすぐにできちゃうので、そこから次のステップに行くのに非常に悩んだんですよね。もう一回最初からやり直すか、みたいなことになったりして。

青木:当時のメモがあったので見返してみたんですが、GBAの画面にプレイヤーごとに違う情報を映せば、それを見ていろいろ相談してゲームを進めてくれるだろうみたいな考えがあったんです。でも、GBAの画面に目が行ってGCの表示されてるTV画面を見ない状態が生まれて、一人でもその状態になってしまうとメインであるはずのGCの方のゲーム進行が止まってしまう。どうやったらGBAの画面を見ながらGCの画面で遊ぶかという事を話し合っていたみたいです。
最初はプレイの前にセッティングみたいなのがあって、最初から魔法が設定できてケアル持っていくから回復担当とか、敵に合わせてファイアを持っていこうとか考えたりっていう案もあったんですが、結局それでもゲーム進行として止まってしまうというか面白くない時間が生まれる。だから、プレイの中でモンスターが魔法を落としてそれを拾う形にすればいいんじゃないかとか、GCの画面をメインに見てゲームが進むように調整したのが一番ですかね。
他にもさっきも話に出ましたけどモーグリ。モーグリをどうやって強くさせるか、そこに何か遊びを入れたほうがいいんじゃないかとか。あと馬車でイベントが起こるんですけど、それをバトルにして馬車を砦みたいにして遊ぶことができたりしないかとか一人で遊ぶところで何かできないかは悩んでいましたね。
板鼻:プログラマーさんやプランナーさんも含めて悩んでたのが瘴気の表現ですね。背景としてはきれいに見せてあげたいというのがあるので、毒だらけのエリアを描いちゃったりすると見た目が厳しい。最終的には天才プログラマーが円形のアウトラインを作ってエフェクトがはじくことで瘴気の存在を表現してくれたんだけど、今度は視点が問題になりました。ある程度上から見たほうが見やすいのは間違いないんだけど、見下ろしだと絵としては面白くない。ゲームとしては上から見たほうがわかりやすいんだけど、ある程度マップの奥を見せたいし、でもそうすると近くや他のプレイヤーの状況が見えにくくなるかもしれないし、と悩みながらカメラの調整はかなり細かくやっていたと思います。

――では続いて、『FFCCリマスター』はオンラインでも遊べるようになっていますね。この新しい遊び方についてはこんな風に遊んでもらいたいなど、何かありますか?

河津:やっぱりみんなでワイワイ言いながら遊んで欲しいなというところはあります、そういう意味ではライブチャットしながらとか今時の方法はあるのかな。機種依存しないで一緒に遊べるっていうのはいいのかなって思いますね。
青木:今やオンライン会議ツールなんかも普及してきてますし、本当は気心の知れた仲間が集まって遊んでもらえたらっていうところはありますけど、オンラインでも可能になってきている。だからとにかくみんなで、多人数で遊んでもらえたら嬉しいですね。
板鼻:前のはGBA持って集まるというところで、少し敷居が高い部分というか準備が大変だったかもしれないです。今回は、無料体験版も含めて気軽に、手短に準備して遊ぶことができるようになったと思います。以前はマルチができなかった方や今回初めて遊ぶ方にも手軽に多人数プレイを楽しんでもらえたらなって思います。

――最後になりますが『FFCC』ファンの皆様にコメントをいただけますでしょうか?

板鼻:今回17年ぶりになるのかなという事もあって、当時プレイヤーとして遊んでくれた人が制作スタッフに入ってきてくれていたりします。そういう皆さんが思い入れも強く、こだわって制作してくれているのがものすごく感慨深いです。
ゲーム自体も、可愛らしいキャラですが世界観や物語は少し不思議で骨太な物になっていると思います。いわゆる「ファイナルファンタジー」とも少し違う『FFCC』の世界をぜひ体験してほしいなと思います。
青木:作った人たちも記憶があやふやになるくらい前のゲームですけど、色んな方から反応を頂いてものすごく嬉しく思っています。こんなに時間がたっても好きでいてくださる方がこんなにいるっていうのは本当に嬉しいことです。元々4人用に作っているところもあるので、一人で遊んでいるとちょっと難しいなっていうところもあるかもしれません。そんな時はちょっと頑張って遊んでもらえたり、仲間と一緒に遊んでクリアしてもらえたら嬉しいです。
河津:ゲーム自体はずいぶん前に作ったものですが遊び方は今風の遊びなのかなと思います。世界観も独特で不思議な、ちょっとイラッとするところもあるかもしれませんが、そこも含めて楽しんでもらえたらなと思います。多人数で遊んでるとそこまでゆっくり世界を見てる暇もないかもしれませんので、一人モードも多人数モードもそれぞれ遊んでみてください。

――本日はありがとうございました!

『ガンガンONLINE』にてコミック版『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル~はてなき空の向こうに~』第1話リバイバル掲載!

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